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<山元町長選>コンパクトシティーの行方(上)高齢化/共に行動 連帯感育む

「つばめの杜公園管理会」の総会。高齢化が進む中で、手探りの街づくりが続く

 宮城県山元町長選は10日に告示される。立候補を表明したのは3選を目指す現職の斎藤俊夫氏(69)だけで、無投票となる公算が大きい。東日本大震災からの復興事業の中心施策として斎藤氏は町の機能を集約するコンパクトシティーの建設を進めたが、高齢化の進展などの課題に直面している。告示を前に町の今を探った。(亘理支局・安達孝太郎)

<若い世代少なく>
 先月16日、町が被災者の集団移転先として、新市街地に整備したつばめの杜地区。交流施設で、住民組織「つばめの杜公園管理会」の総会があり、新しい会長の選任が行われた。
 「誰かどう?」。79歳の会長、沓沢ミエ子さんが、呼び掛ける。「年齢的に自分は無理」と81歳の男性が答える。他のメンバーも行政区の役職などがあり難しいという。10分ほどのやりとりの後、沓沢さんが「もう1年だけ」と折れた。
 管理会は1年前、町の呼び掛けを基に公園の維持管理など街づくりに興味のある住民らで結成された。メンバーは約30人。「地域に若い人が少ないので、元気なうちは自分たちががんばるしかないのかな」。沓沢さんが苦笑いする。

<人口流出が進む>
 山元町の高齢化は、震災を契機とした人口流出とともに一気に進んだ。2015年の国勢調査に基づく今年3月1日時点の推計人口は、10年の調査確定値から27.8%減の1万2065人。高齢化率は震災前より7ポイントアップの37.8%(17年3月末時点)で、県内の市町村で3番目に高い。特に町が集団移転先として整備した3カ所の新市街地は高齢化が著しい。
 町は新市街地の人口を計2200人と計画した。だが、実際に住んでいるのは7割程度。常磐線の内陸移設など前例のない街づくりに不安を感じた若い世代が通勤・通学の便が良い他の地域に流れたとみられ、災害公園住宅が集まるつばめの杜西区の高齢化率は45.1%に達している。

<つながりの核に>
 できたばかりながら高齢化した街で、どう人のつながりを作るのか。つばめの杜地区などで3月末までコミュニティー再生支援を手掛けた宮城大客員研究員の橋本大樹さん(35)は「公園管理会など自発的な集まりが、住民同士がつながるために重要になってくる」と話す。
 公園管理会の総会は高齢化の実態を浮き彫りにしたが、話し合いはスムーズに進んだ。会員は被災沿岸部各地から移り住み、1年以上行動を共にして少しずつ打ち解けた。ごみ拾いで地元小学校と連携するなど若い世代に関心を持ってもらう取り組みを始めている。
 管理会会員はつばめの杜の住民約1200人からみれば、ほんの一握り。それでも、地区では健康マージャンの集いやお茶飲み会などたくさんの住民主体の活動が始まっている。
 橋本さんは「マージャンの会などテーマを持ったコミュニティーの代表が自治会の会合に出れば、住民一人一人の様子を多くの人が共有できる可能性が出てくる」と語り、小さなコミュニティーの地道な連携に期待している。

[山元町のコンパクトシティー]JR常磐線の内陸移設とセットで、被災した沿岸集落を山下駅前の「つばめの杜」、「坂元駅周辺」、宮城病院周辺の「桜塚」の3地区に移転させた。学校や交流拠点などを整備し、集落集約により、公共施設やインフラの維持管理費の効率化を目指す。つばめの杜、坂元駅周辺は2016年10月にまちびらきを行い、桜塚は17年春に災害公営住宅の整備を終えた。


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2018年04月07日土曜日


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