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<山元町長選>コンパクトシティーの行方(下)周縁/旧来の集落募る不安

中浜地区の集会所。世帯数が激減し、運営に不安が募っている

 宮城県山元町長選は10日に告示される。立候補を表明したのは3選を目指す現職の斎藤俊夫氏(69)だけで、無投票となる公算が大きい。東日本大震災からの復興事業の中心施策として斎藤氏は町の機能を集約するコンパクトシティーの建設を進めたが、高齢化の進展などの課題に直面している。告示を前に町の今を探った。(亘理支局・安達孝太郎)

<活動継続難しく>
 「役員手当を払い続けるとそれだけで行政区の区費がほとんどなくなる。区からの役員報酬を無くしたい」「全面廃止は問題では」
 山元町中浜地区で3月25日、完成したばかりの集会所に住民が集って行政区の総会を開いた。話し合いは集会所ができあがった喜びよりも、先々の不安がにじむ内容となった。
 中浜地区の大半は東日本大震災の津波の被害に遭い、震災前にあった314世帯は内陸に残った26世帯に激減した。隣の地区との統合が検討されたが、コミュニティー維持のため存続を選択し、行政区が主に兵庫県の義援金を活用して集会所を建てた。
 現在の区費は1世帯年5000円。募金などの支出を差し引くと、実質年約10万円しか使えない。集会所の光熱費や保険費用で区費のほとんどが消える計算になる。
 住民が大幅に減り、道路や空き地の草刈りなど震災前の活動を続けることが難しくなっている。島田敏光区長は「町による支援も必要になると思うが、どこまで対応できるだろうか。コンパクトシティーを進めた結果は将来にならないと分からず、小さな集落の不安は大きい」と訴える。

<重い施設維持費>
 町は人口減少を見据えて行政サービスの効率を高めようと、被災者の集団移転先を町内3カ所に限定するコンパクトシティーを推進した。だが、中浜など各地に旧来の集落がある現状では経費削減の効果は見えづらい。
 町によると、本年度新設分を含めた公共施設の町民1人当たりの延べ床面積は約8.5平方メートル。震災後に町の人口が3割近く減ったことや災害公営住宅490戸が建設されたことで、2012年調査の全国市町村平均値約3.2平方メートルを大きく上回っている。
 町は16年度、公共施設の今後の維持管理費を試算し、17年度からの40年間の維持・更新費は年平均約8億円と見積もった。今後は建物の細やかな維持管理による「長寿命化」や施設集約を進める考えだが、対策を何も講じなければ、平均で毎年約7億4000万円が不足する計算になる。
「沿岸にも目を」
 コンパクトシティー推進に対する不安は、沿岸部を中心に高まっている。
 津波被害の大きかった笠野地区では、第1、2種津波防災区域(災害危険区域)に約20世帯が残る。津波で防潮林がなくなり、点在する民家が強風に悩まされている。
 周囲で大規模農地の整備が進む影響もあり、風で飛ばされた小石が車のガラスを割る被害も出ている。斎藤邦夫区長は「家の中にまで砂が入ってくる。同じ町民なのだから、沿岸部に住んでいる住民の生活環境にもきちんと目を向けてほしい」と訴える。


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2018年04月08日日曜日


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