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<仙台いやすこ歩き>(77)宮城県庁18階「ぴぁ」/ランチ県産食材ずらり

 さらさらと優しい風。二十四節気の暦を見れば、4月の初めは「清明」。清らかで明らかな中に、全ての生命が春の息吹を謳歌(おうか)する時節。4月の風に誘われ、いやすこが街を行けば、新社会人や新入学生の発する輝きがたまらない。
 「まぶしいねえ」と言いながら、2人は仙台市青葉区中心部の建物へ。「私、このビルでこんな上まで昇るの初めて」と話す画伯の新鮮体験の場となったのは、宮城県庁舎の最上階、18階だ。
 その眺望の素晴らしいこと。北側には船形連峰、泉ケ岳、七ツ森、栗駒山…。「さすが県庁! 県境まで見えるんだ」。そして南側を展望する場所に、今回の目的地「レストランぴぁ」がある。
 迎えてくださったのは佐藤耀代(てるよ)さん(75)。名刺には「社会福祉法人仙萩(せんしゅう)の杜(もり)ぴぁ理事長」とある。「ここは障害者の就労を目的に開設されたレストランなんです」。にっこりとほほ笑みながら、レストランぴぁの特色やオープンの経緯などを聞かせてくださる。
 佐藤さんたちはNPOから始まり13年間、障害のある人が働く場の創出に取り組んできた。コンセプトは、障害があっても今できることを一生懸命やって、自分たちの力を社会に還元しよう、というもの。
 そして、就労の場づくりの礎に置いたのが宮城県産の食材。豊かな宮城の海産物をもっと生かせないかと、その道の専門家の協力を得てギンザケ、メカジキ、ホタテ、豆腐を薫製にした商品「伊達の燻製(くんせい)」を誕生させた。障害のある人たちはパッケージ作業などを担当しているそう。
 続いて、10年11月にレストランぴぁをオープン。東日本大震災の4カ月前のことで、「震災の時に開業していてよかったです」と佐藤さんは言う。「あの時は被災された方も支援に来られた方も、県災害本部がある県庁舎に来ていたので、『障害者の人がこんなに元気に働いているのを見て、力をもらいました』という声を多くいただきました」
 ぴぁのコンセプトがじかに人々へ発信され、受け止められた時でもあったわけだ。
 ここで働く皆さんは本当に生き生きしている。水を運び注文を取る人、食事を運ぶ人、水のお代わりをタイミングよく注いでくれる人。自然で速やかで、おもてなしの温かな心が伝わる。
 話を伺う一方で、いやすこは口を働かすことにもぬかりない。運ばれてきたのは県産素材の旬と鮮度が光る「ぴぁランチ」。サラダは、宮城県が生産量全国一を誇るパプリカと、新鮮シャキシャキの水菜。さらにベーコンと新玉ネギのブイヨンスープに、鶏肉のレモンクリームソース、デザートまで。おいしい料理を引き立てるご飯は、仙台市宮城野区田子産、環境保全米のひとめぼれである。
 「せっかくだもの、ゆっくり楽しもう」と窓の外に目をやれば、仙台の都心から望む青い太平洋、そして青い空。目の前の食事も眺望もきれいな宮城の春景色で、2人のお皿もきれいに完食。
 県庁を出て庁舎を仰ぎ見ると、「復興へ、がんばろう!」の字が輝いていた。

◎志津川湾で日本初の養殖

 養殖ギンザケは、宮城県の志津川湾が発祥の地である。もともと天然物のギンザケは北海道やカナダ、アラスカの産だが、宮城県沿岸部の春から夏にかけての海水温が生育に適していることと、リアス式海岸に囲まれた湾の波が穏やかで養殖に向いているという好条件の下、1976年に日本で初めて養殖に成功した。
 今では女川や石巻でもギンザケ養殖が行われ、宮城県の生産量は全国1位、国内産の約9割を占めている。同県の水揚げ量は震災前が約1万4000トンで、2015年は約1万3000トン。水揚げの旬は4〜7月。
 仙萩の杜ぴぁの「伊達の燻製」は、ギンザケはじめ宮城県産の魚介を使用。同県水産加工品品評会で水産庁長官賞を受賞している自信作。レストランぴぁでも「伊達の燻製ランチ」を提供している。
 ちなみに、レストランぴぁは宮城県庁舎のテナントレストラン。職員の福利厚生用食堂としては、2階に「カフェテリアけやき」がある。



 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。


2018年04月09日月曜日


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