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津波防災の願い受け継ぐ 紙芝居で伝え続けた宮古の女性しのぶ会

自作の紙芝居で津波の脅威を伝える在りし日の田畑さん=2010年5月

 手作りの紙芝居で津波の恐ろしさや命の大切さを説き続け、2月に93歳で亡くなった宮古市田老地区出身の田畑ヨシさんをしのぶ会が14日、市内で開かれる。田畑さんから伝え続けることの大切さを学んだ人たちが、その遺徳に思いをはせる。
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 田畑さんは8歳の時、昭和三陸津波(1933年)で母を亡くした。孫たちに惨劇を伝えようと紙芝居「つなみ」を制作し、約40年前に小中学校などで読み聞かせを始めた。
 震災で再び自宅を失ったが、紙芝居は無事だった。青森市内の長男宅などに身を寄せながら、精力的に啓発活動を続けた。
 震災の後、紙芝居の読み聞かせに付き添うようになった長女高橋恵美子さん(68)=滝沢市=は「母が逃げて身を守ったおかげで私が生まれた。母親を亡くした悲しみを抱きながらも前向きに生き、愛情を注いでくれた」と話す。
 隣で耳を傾けるうち、母がつないだ命の重さを強く感じるようになり、感謝の思いがあふれたという。
 高橋さんは震災発生から7年がたった今年3月11日、田畑さんの紙芝居を携えて田老地区を訪れた。「紙芝居は母の生きた証し。機会があれば私なりの思いを込めて読み聞かせたい」と決心した。
 「後継者」は北海道にもいた。
 北海道南西沖地震(93年)で津波に襲われた奥尻島出身の三浦浩さん(40)=北海道栗山町=は2011年夏、田畑さんと面会。触発されて自らの避難体験を自作の紙芝居「あの坂へいそげ」にまとめた。紙芝居の完成を一番喜んでくれたのも田畑さんだった。
 三浦さんは現在、語り部として講演活動に取り組んでいる。北海道東部沖でも巨大地震の発生が懸念されており「自分は津波の時に坂道を駆け上がり、間一髪で助かった。この経験を伝えるために生かされたと考えている」と言い切る。
 しのぶ会は宮古市の田老町漁協で14日午後3時から。田畑さんの紙芝居映像を上映する。連絡先は高橋さん019(687)3334。


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2018年04月10日火曜日


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