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<気仙沼市長選>港町復興途上(下)もがく産業 水産や観光特色必要

仲買人たちが魚を見定める気仙沼市魚市場。水揚げの減少に悩む

 水揚げされたメカジキやモウカザメが並ぶ。早朝から仲買人が忙しく動き回り、厳しい目つきで魚を見定めた。
水揚げ量大幅減
 地域の主力産業である水産業を支える気仙沼市魚市場。かつて300億円を超える水揚げ金額を誇ったが、2017年は188億円まで落ち込んだ。港町の屋台骨が揺らいでいる。
 17年はサンマが初めて1万トンを割り、カツオはピーク時の半分以下に低迷。主力魚種の不振で水揚げ量は約7万4000トンと、震災前の10年比で3割減った。
 気仙沼市では水産加工業や運送など産業の7割が水産に依存すると言われる。気仙沼漁協の幹部は「市内の水産加工業を賄うには最低でも10万トンの水揚げが必要」と指摘する。水揚げの低迷は地域経済の冷え込みに直結し、復興途上の水産加工業の経営を圧迫する。
 津波で工場が全壊し、15年4月に鹿折地区で再開した缶詰製造「ミヤカン」。震災後、売り上げを伸ばしているが、昨年はサンマの歴史的不漁に翻弄(ほんろう)された。
 震災後に力を入れた地元産サンマを使った缶詰の売り上げは、例年の7割減の約1億円まで下がった。浜値が2倍となり、価格を3割増の200円台で販売したのが不振につながった。
 サバ缶が好調で総売上高は伸びたが、寺田正志社長(70)は「不漁が続けばサンマ離れも進む。特色ある商品作りや有効な販売戦略を立てなければ生き残れない」と危機感を募らせる。
 水産に依存する産業構造からの脱却は、市が抱える長年の課題だ。もう一つの主力産業の観光業に期待は集まるが、震災後の低迷から抜け出せない。16年の観光客数は約135万人と震災前の約254万人(10年)のほぼ半分にとどまる。
「稼ぎ時を逃す」
 三陸沿岸道路は18年度中に一部区間(2キロ)を除いて仙台港北−気仙沼中央インターチェンジ間がつながり、18年度末には本土と離島・大島を結ぶ気仙沼大島大橋が完成する。追い風の材料はあるが、観光業界の見通しは決して明るくない。
 「何もない島に来て、がっかりするのでは」。3月下旬に県、市が開いた大島に市が整備する観光拠点の説明会。県道整備の遅れで、拠点ができるのが橋の完成から約9カ月後となることに、島民から不安が噴出した。
 市の試算では開通直後、1日1万200台の車が橋を通る。気仙沼大島観光協会の白幡昇一会長(66)は「ゴールデンウイークなどの稼ぎ時を逃すのは痛手だ」と表情を曇らせる。
 南三陸町のさんさん商店街には昨年65万人を超える人出があった。陸前高田市の「奇跡の一本松」など周辺には全国区の観光地が多い。受け入れ態勢の整備に加え、地域間競争を勝ち抜く観光戦略が不可欠だ。
 気仙沼観光コンベンション協会の臼井亮事務局長(44)は「他地域と差別化しなければ素通りされる可能性もある。単体の観光地では勝てない。気仙沼全域を回ってもらうような仕掛けが必要だ」と訴えている。


2018年04月14日土曜日


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