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<イラク日報>報告漏れ次々 身内も批判、防衛相正念場

事務次官や各幕僚長らを集めた幹部会で日報問題の徹底究明を命じた小野寺防衛相(中央)=6日夕、東京・市ケ谷の防衛省

 陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題で、小野寺五典防衛相が厳しい対応を迫られている。今月2日に明るみに出て以降、連日のように新たな報告漏れが発覚。小野寺氏は新事実を公表して徹底解明の姿勢を示すが、文民統制の機能不全は深刻だ。与党からも組織の隠蔽体質への批判は強く、野党からは辞職を迫る声が上がる。文民統制の在り方を巡り対応を誤れば、進退に直結しかねない正念場が続く。(東京支社・小木曽崇)

<文民統制対応が焦点>
 6日午後、小野寺氏は防衛省内で緊急の訓示をした。「訓練で基本動作を体に染みこませるように、文書管理や情報公開業務も基本として身に付けてほしい」
 目の前の自衛隊幹部だけでなく全国の現場隊員にも音声を中継し、組織の引き締めを図った。
 公表後は長崎県佐世保市の自衛隊施設の視察を中止。大崎市長選(15日投開票)気仙沼市長選(22日投開票)の応援で予定していた宮城入りも取りやめた。
 問題収拾に向け「うみを出し切る」と繰り返す。9日の参院決算委員会では「先ほど事務方から南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報が確認されたと一報があった」と述べ、11日の衆院予算委では「残念なことだが今朝も報告があった」と説明。新事実は時間を置かず明らかにする姿勢をにじませる。
 対照的に文民統制の在り方への言及は慎重だ。当初は「もし文民統制が機能していなければ、まだ公表されていなかった可能性がある」などと強調していた。
 航空幕僚監部でも日報が見つかったことを公表した6日の閣議後記者会見は、一転して危機感を示した。何度も質問を繰り返された末に「文民統制にも関わりかねない重大な問題」と認めざるを得なかった。
 自衛隊を憲法に明記する自民党の改憲案への影響を測っているとみられるが、身内からも厳しい声が上がる。9日の参院決算委で自民党の滝沢求氏(青森選挙区)は「文民統制が機能していないという批判は当然」と語気を強めた。
 小野寺氏は、陸自研究本部の日報がなぜ当時の稲田朋美防衛相に報告されなかったのか省内チームに調査を命じており、詳しい経緯をまだ語っていない。
 野党は「国会をだましていた。ちゃんと分かった段階で集中審議すべきだ」(枝野幸男立憲民主党代表)と追及を強める。
 当面の焦点は今国会中に示される調査結果だ。文民統制の徹底に向けた道筋が明確にならない場合、さらなる批判にさらされる可能性もある。

[自衛隊の日報隠蔽]防衛省は2日、2004〜06年の陸上自衛隊のイラク派遣に関して「存在しない」としてきた日報を陸上自衛隊研究本部(現教育訓練研究本部)と陸上幕僚監部衛生部で発見したと発表。研究本部は昨年3月に存在を確認しながら、当時の稲田朋美防衛相に報告していなかった。今月6日には航空幕僚監部運用支援課、11日には陸幕防衛協力課でも見つかったと明らかにした。


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2018年04月15日日曜日


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