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<まちかどエッセー・鈴木弘二>それでもダイエット

[すずき・こうじさん]建築家。61年仙台市生まれ。日大理工学部建築科卒、同大大学院修了。現在、鈴木弘人設計事務所代表取締役社長。日本建築家協会本部理事・副会長、東北支部長。東北大、仙台高専、宮城大で非常勤講師を務めた。仙台藩香道と料理、釣り、ゴルフ、旅行が趣味。仙台市青葉区在住。

 昔、「建築家の腹」という映画を見ました。アメリカのとある建築家が、憧れの存在、18世紀のフランス革命期に「幻視の建築家」として影響を及ぼしたE・L・ブーレーの回顧展を企画するため、妻と共にパリを訪れるところから物語が始まります。
 建築家はパリで腹痛を起こし、妻の不倫やさまざまな人間関係で苦しみ、最後には、ブーレーに手紙を書いて身を投げ死んでしまう。悲惨で壮絶な結末でした。特にお薦めしたい映画でありませんが、その後、映画のタイトルと主人公のメタボな体つきが、いつも頭の片隅にちらつくようになりました。
 55才に近づいた頃の私は身長170センチ、体重は胸を張って言える数字ではなく、年々腹回りが気になり、服のサイズも大きくなって不安を感じていました。
 健康診断では体格指数(BMI)などから完全なメタボであると診断され、何とかしなければと考えていると、あの映画のタイトルがよぎり、思い切ってダイエットに取り組みました。
 そのダイエットは、ココナツオイルやMCTオイルを豆乳やコーヒーに入れて食事のたびに飲み、低糖質な食事を取るというものでした。体重がどんどん減り、1年で15キロもやせました。激やせ姿に、病気にでもかかったのかと心配する人もいたぐらいでした。
 ダイエットのプロセスはつらく、昔からおいしいものが大好きな私には、とてもきついものでした。特に、炭水化物を抜くことが大変だったのです。ご飯、パン、そば、ラーメン、パスタなど、普段主食として食べているものを極力少なくし、野菜、肉、魚などを取るのですが、それも満腹感を感じられないほど少ない量なのでした。
 ダイエットを行いながら気付いたのは、低糖質の食事制限に対応する外食店が少ないこと。それ用の食材もスーパーやコンビニでほとんど売っておらず、楽しくダイエットができる環境がいまだ社会的に整っていないと感じました。
 現在、私はリバウンドと戦っていて、「建築家の腹」とならないよう日々努力し続けています。(建築家)


2018年04月16日月曜日


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