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<篠山紀信さん>被災地、原発 撮り続ける「人々の姿、今後も形に」

福島第1原発の廃炉作業を収録した写真集を手に、被写体への思いを語る篠山さん

 写真家の篠山紀信さん(77)が、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の取材を続けている。2011年11月に宮城県沿岸の写真集を出したほか、今年2月には2冊目となる「すごい廃炉」を刊行。災後を生きる被災者や果てしない廃炉現場にレンズを向けている。
 篠山さんが初めて被災地入りしたのは11年5月。津波被害を受けた仙台市若林区荒浜を訪れた。
 電柱に布団が垂れ下がる。枝葉がもぎ取られた木に、小鳥が止まっていた。「自然が全てを壊し、新たな自然を再生していた」。眼前の光景に圧倒された。
 時代が生んだ人々や出来事に迫ってきた自負はあった。だが、震災の惨状には二の足を踏んだ。
 被災地に行くべきだと思いつつ、何をどう撮ればいいのか分からない。「女の子やきれいな服を撮影する人間が来る場所ではないと思われるのではないかとも悩んだ」と、当時の胸中を明かす。
 じりじりと時が流れる中、知人の編集者から「撮れなくてもいい。行きましょう」と背中を押された。取材の合間、飲食店で談笑するカップルに話し掛けられた。観光客かと思ったが、地元の若者で男性は家族を亡くしていた。寄り添う姿をカメラに収めた。その後、2人は結婚した。
 「不謹慎と言われるかもしれない。けれど、被災地の光景やそこで暮らす人々は美しかった。感じたものを撮ろうと思った」
 福島第1原発構内には16年12月26日に入ったが、年末とあって作業員は少ない。「働いている人を収めたい」と、年明けに再び現地を訪れた。凍土遮水壁、汚染水タンクなどを取材した。
 原発に向かう途中で帰還困難区域も通った。周囲に無人の町が続く一方、原発構内には作業員がひしめく。「この対比こそが原発事故の姿。『すごい』と思った」と振り返る。
 篠山さんは「私は途方もなく続く時間の一こまを撮ったにすぎない。機会があれば再び現地を訪れ、時々の光景や人々の姿を形にしていきたい」と思いを語った。


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2018年04月16日月曜日


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