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<大川小>検証委資料の保管先決まらず 「当面の間」と4年以上民間に預けたまま

検証委の資料を一時保管している社会安全研究所。「当面の間」の約束で託され、既に4年が経過した=東京都新宿区

 東日本大震災の津波で児童・教職員計84人が死亡・行方不明になった宮城県石巻市の大川小を巡り、有識者らによる事故検証委員会が行った関係者への聞き取りなど調査資料の保管先が決まらず、4年以上も宙に浮いていることが分かった。資料は当時の委員長が、事務局のコンサルタント会社「社会安全研究所」(東京)に「当面の間」との約束で託した。税金を使って集められた貴重な資料が、明確な根拠のないまま民間企業に預けられた状態が続いている。(大川小事故取材班)

<市が費用負担>
 検証委は文部科学省が主導する形で設置され、2013年2月〜14年1月に計9回の会合を開いた。費用5700万円は石巻市が負担した。14年3月に市に最終報告書を提出し、検証委は解散した。
 その間、震災発生時、学校にいた教職員11人中、唯一助かった男性教務主任(57)への2回、計5時間の聞き取りをはじめ、児童10人、保護者、遺族、地域住民ら関係者へ計108回の聞き取り調査を行った。延べ196人、約187時間に及ぶ。
 委員長を務めた室崎益輝・兵庫県立大大学院減災復興政策研究科長は検証委解散時、「当面の間、預かってほしい」と事務局の社会安全研究所に依頼。大学などに打診したが、引き受け手が見つからなかったという。

<取り決めなく>
 検証委の情報取扱規定は、聞き取り資料を検証以外に使用しないことを定めるが、保管の取り決めはない。同研究所は取材に「資料は電子データ化して保管し、紙の資料は全て廃棄した。法的根拠はないが、当時の委員の『保存』という判断に従い、可能な限り保管したい」とメールで回答した。
 同研究所は、特別顧問の木村拓郎氏が1997年6月に設立した株式会社。資本金1000万円。株式会社は倒産や企業の合併・買収(M&A)のリスクがあり、歴史的な資料の一時保管先としては不適切との声も上がっている。

<遺族から批判>
 大川小津波訴訟の原告団長で遺族の今野浩行さん(56)は「仮に廃棄されれば、検証委が結論を導き出した経緯が分からなくなる。民間企業に一時保管されているため情報公開請求もできず、検証できない」と批判する。
 石巻市教委学校安全推進課は「聞き取りは非公開を前提に実施しており、市や市教委が資料の提供を求めることはできないと認識している」と説明する。
 室崎氏は「資料は検証委の存在の証しであり、廃棄することはない。中立公正の観点から当事者である市に戻すことは避けた。責任を持って保管先を見つけたい」と話した。


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2018年04月17日火曜日


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