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<津波被害第三者検証資料>取り扱いに統一ルールなし、廃棄した例も 問われる保管の在り方

 東日本大震災後、津波被害の原因究明に当たる第三者検証(調査)委員会が各地で設置された。有識者らで構成する委員らが聞き取った住民の証言など資料の取り扱いに統一ルールはなく、中には報告書を作成後に廃棄されたケースもある。震災の教訓を後世に伝える一次資料の保管の在り方が問われている。

 多くの住民が犠牲になった岩手県釜石市の鵜住居(うのすまい)地区防災センターの調査委員会は2014年3月、最終報告書をまとめた。住民の証言やアンケートなどは事務局の市が管理している。
 市危機管理課は「市が今後も忘れず背負っていくべき重大な案件。将来、活用する可能性もある」と永年保管する方針だ。
 同県陸前高田市も市が検証委員会の事務局を務めた。電子データのほか、市民アンケートなどは紙の原本の状態で市が保管。市防災課は「検証内容にはさまざまな意見があり、報告して全て終わりではない」と話す。
 釜石、陸前高田両市が保管する一次資料は公文書として情報開示請求の対象だが、石巻市大川小の場合、検証委事務局の社会安全研究所(東京)に一時保管され、今後の取り扱いは未定だ。
 遺族は特に教務主任への聞き取りの公開を求め、「本当に正しく検証されたのか判断できない」として、資料の永年保管と再検証を訴える。
 宮城県名取市の検証委事務局は、一次資料を全て廃棄した。同市では750人以上が犠牲になった閖上地区の被害を調べた検証委が14年5月に最終報告書を提出。しかし、遺族が訴訟を提起した8カ月後の15年5月、事務局の一般社団法人減災・復興支援機構(東京)が全て廃棄した。
 木村拓郎理事長(前・社会安全研究所長)は16年10月、尋問後の取材に「元々、訴訟で使わないとの前提で市職員らにヒアリングした。証言が訴訟で使われることになれば、今後、災害が起きても誰も第三者委員会の質問に答えなくなる」と語った。
 阪神・淡路大震災(1995年)の被災者らにインタビューした公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構(神戸市)は、震災発生30年後の2025年に原則公開する方針だ。東日本大震災後は教訓の活用を目的に、同意を得た証言の一部を既に開示している。
 気仙沼市の震災記録に携わった東北大災害科学国際研究所の川島秀一シニア研究員(65)=民俗学=は「検証の独立性と透明性のバランスが重要」と指摘した上で「一次資料は報告書にとどまらない事実に近づく上で貴重で、公的機関による一元的な管理など将来的な再検証にも活用できる仕組みが必要だ」と話す。


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2018年04月17日火曜日


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