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<防潮堤施工ミス>難しい決断に揺れる住民

施工ミスの説明があった協議会。住民は難しい決断を迫られている=14日、気仙沼市役所

 東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市内湾地区の魚町に建設中の防潮堤を、県が計画より高く造った施工ミスを巡り、住民が難しい決断を迫られている。現状のままでは景観を損なう恐れがあり、造り直せば街づくりが遅れる。住民の意見が割れ、浜の分断を招きかねない状況になっている。

 「みんなで決めた防潮堤の高さに下げるべきだ」
 「これ以上周辺の工事が遅れることは許されない。受け入れるしかない」
 14日、内湾地区の住民団体「内湾地区復興まちづくり協議会」の会合。県が示した(1)防潮堤の造り直し(2)背後地のかさ上げ(3)現状のまま設置−の3案に対する意見は分かれた。
 2012年6月に発足した協議会は景観を守るため、防潮堤の高さを抑えようと結束。県と議論を重ね、14年2月に今の高さで決着した経緯がある。
 施工ミスへの対応は、合意した高さに戻すべきだとする住民と、周辺工事の遅れを懸念し現状を受け入れようとする住民がいて、まとまっていない。
 市が14年10月に着手した内湾地区の土地区画整理事業(11.3ヘクタール)は20年度に完了予定。既に土地の引き渡しが終わり、店舗を構え事業を再開した住民も多い。県は、防潮堤を造り直すと着工から完成まで1年かかり、区画整理事業は1年3カ月遅れると試算する。
 協議会の関係者の一人は「工事が長引くほど地区内で店を始めた住民の商売に影響が出る。一方で防潮堤近くに住む人は1センチでも低くしたいはずだ。復興工事が進み、考え方に違いが出ている」と説明する。
 協議会は23日に会議を開き、住民の意見を把握する方法を検討する。県は地元の意向を尊重する方針で、5月上旬までに一定の方向性を示したい考えだ。
 協議会の菅原昭彦会長は「街づくりを遅らせたくないし、防潮堤を高くしたくない。どちらも住民の本音だ。意見集約は非常に難しい作業になる」と話した。

[気仙沼市魚町の防潮堤]県が海抜4.1メートル、長さ312メートルで建設する。15年7月に着工した。市は背後地を盛り土して見た目の高さを約1メートルに保つ。公共工事で高さの基準として使う国土地理院の水準点改定(17年2月)に伴う再測量で現地の隆起を観測。県は同年3月、隆起分22センチを差し引く計画に変更した。今年9月の完成を見込んだが、完成済みの160メートル区間で隆起分を考慮せず施工ミスが発覚した。


2018年04月19日木曜日


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