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<大川小津波訴訟>「備え」の適否に教育界注視 控訴審あす判決

大川小教育計画につづられた危機管理マニュアル。「津波発生の有無を確認」と明記され、表題も「地震(津波)」とある

 東日本大震災の津波で児童・教職員計84人が犠牲になった石巻市大川小を巡る損害賠償請求訴訟で、全国の教育関係者が26日の控訴審判決を注視している。災害発生後の行動を重視した一審と異なり、控訴審の焦点は「備え」の適否。専門家は「司法判断次第で全国の学校で安全管理の再検討が迫られる」と指摘する。
(大川小事故取材班)

 主な争点は大川小の危機管理マニュアルの是非。2010年3月の改訂で「津波発生の有無を確認し、二次避難場所へ移動する」と明記された。市教委は各校に提出させたマニュアルの内容を確認せず、不備を正すこともなかった。
 校庭から次の避難場所は「近隣の空き地・公園等」とだけ記載され、具体的な場所を明記していなかった。当時の校長柏葉照幸氏は、児童引き渡しで使う防災カードを「見たことがなかった」とも述べた。
 マニュアルは09年4月施行の学校保健安全法で明文化された。同法は学校と教育委員会に危険発生時、教職員が取るべき行動を具体的に定めたマニュアルの作成を義務付け、校長には教職員への周知や訓練を課した。
 ポイントは「学校の実情」に応じた内容を求めた点。16年10月の仙台地裁判決は大川小の「実情」について、ハザードマップで学校が浸水予想区域外だったことなどを挙げ、「具体的な津波避難場所や避難方法を明記すべき義務はなかった」と判断した。
 学校の安全管理に詳しい国士舘大の堀井雅道准教授(教育法学)は「大川小の学区には浸水予想区域が含まれており、当然『学校の実情』に当たる。子どもを預かる学校はハザードマップを参考にしつつも、より踏み込んだマニュアルを作成すべきではないか」と指摘する。
 同法が定めた「学校の安全管理」を正面から問う司法判断は初とみられ、判決は教育現場の「指針」となる公算が大きい。
 南海トラフ巨大地震に備える高知県教委の担当者は「津波防災の方向性がこのままでいいのか、見直す材料になる」、兵庫県教委の担当者は「備えはどこまで求められるのか。学校防災の指針になり得る判決として注目している」と話した。

[学校保健安全法]2009年4月施行。大阪教育大付属池田小の校内児童殺傷事件(01年)を受け、全ての学校に「学校安全計画」「危機管理マニュアル」の策定などを義務付けた。文部科学省は各種災害について「各校の実情に応じた適切な対応に努める」「マニュアルは毎年度適切な見直しが必要」などと通知した。


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2018年04月25日水曜日


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