岩手のニュース

<震災遺構>保存の議論足踏み 費用負担が重荷 陸前高田

震災遺構として保存が決まった旧気仙中校舎。整備の手は入らず立ち入り禁止になっている

 東日本大震災で被災した陸前高田市で、震災遺構の保存や活用策に関する議論が足踏みを続けている。遺構は全て国や岩手県が整備する「高田松原津波復興祈念公園」(約130ヘクタール)内に位置し、いまだに誰が管理するのかもはっきりしない。関係者からは早期の対応を求める声が挙がっている。(大船渡支局・坂井直人)

 3月の復興祈念公園有識者懇談会で、委員の一人が「遺構は現時点で触らずに置いておくとしているが、壊れたり何かあったときにどう対応するのか」と問題提起した。
 懇談会では、2020年度の公園完成に向けて国、県、市が、それぞれ国営追悼施設や県営祈念公園、市施設の整備スケジュールを説明。遺構の在り方には触れず、戸羽太市長は「管理をどこでやるかも決まっていない」と明かした。
 市はタピック45(道の駅高田松原)、陸前高田ユースホステルなどの保存を決めている。このうち津波の脅威を伝える旧気仙中校舎と定住促進住宅については市が県と協議して解体方針を撤回、保存に転じた。
 今年に入って県は、市に管理を打診。これに市当局は「保存に至った経緯を考えれば、全部を市が管理するのはおかしい」と本音を漏らす。
 保存の初期費用に復興交付金を活用できるのは1自治体1施設とされており、その後の維持管理など被災自治体には費用負担が重くのし掛かる。
 復興祈念公園内の遺構について国、県、市の基本計画は、外側からの見学を基本としているが、地元には整備して内部の公開を望む声もある。
 陸前高田市の語り部釘子(くぎこ)明さん(59)は「人々に興味を持ってもらっている間に、手だてを講じてほしい」と要望。市も理解を示すが、復興祈念公園と遺構の整備は表裏一体とあって「他地域のように単独では進められない」と困惑している。


2018年04月25日水曜日


先頭に戻る