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<週刊せんだい>杜の都 巡って感じて(4)自然豊か「殿様の道」

「この辺りが『殿様の道』とされています」と雑木林の中を案内する内山さん=青葉区荒巻青葉

◎八木山〜青葉山/地域の歴史 歩いて実感

 遊園地や動物公園がある仙台市民の行楽地、太白区の八木山地区と、東北大の研究機関が点在する青葉区の青葉山地区。双方は最深70メートル、全長3キロもの竜ノ口渓谷によって隔てられ、遠く離れた印象を持つが…。
 「実は両エリアって、徒歩で行き来できるんですよ」。市民団体「青葉山・八木山フットパスの会」(青葉区)事務局担当で東北大職員の内山隆弘さん(40)の後ろに付いて、市有林や国有林を通り八木山から青葉山へ抜けるルートを歩いてみた。

<伊達家の山を散策>
 地下鉄に乗って仙台駅からわずか十数分、八木山動物公園駅の屋上「八木山てっぺんひろば」で待ち合わせて出発。竜ノ口渓谷を時計回りで迂回(うかい)するため、西方向へ。4月初めの市有林「金剛沢緑地」の沿道を行くと、あちこちにカタクリが咲いていた。
 緑地の西に広がる国有林「金剛沢治山の森」に入り、モミやアカマツ、赤い実を付けたアオキなどの茂みの中を進む。「青葉山や八木山は、モミの木が群生する国内の北限なんだそうです」。内山さんが見上げた青空に、鳥のさえずりが響いた。森の中は縦横に散策路が延びており、あずまやも設けられている。
 木立の奥に現れた東北大西澤潤一記念研究センターの脇道から、青葉山地区の住宅地に出た。アパートや民家が並ぶ一角に、小さな雑木林が。「藩制時代、青葉山と八木山は伊達家の山でした。藩主らが狩りなどで通った『殿様の道』とされる痕跡が、所々に見られます」。言われてみると、木々の合間を縫う細長い山道があったように見える。

<地下鉄で一駅区間>
 フットパスの会が山菜を味わうイベントを昨春行った青葉山町内会集会所の前を通り、青葉の森緑地の散策路案内図を過ぎてから東北大青葉山キャンパスの門をくぐった。
 広い敷地内に、学生寮など大規模な建物が次々整備されている。市環境局も2016年4月、大学院環境科学研究科棟の1階に自然や科学に関する図書を集めた「せんだい環境学習館たまきさんサロン」をオープン。近くには大学OBが寄贈した桜の苗木を植えた広場や大学生協の食堂があり、一般市民も利用できる施設がいくつもあるようだ。
 出発からゆっくりと2時間半歩いて青葉山駅に到着した。「地下鉄で一駅の区間ですが、豊かな自然や地元の歴史的な魅力に触れられるエリアだということを、歩くと実感できますよね」と内山さん。同会は、両地区を散策しながら地域資源を掘り起こす取り組みを行っている。現在、現役引退後のシニア層が活動の中心だが、若い世代の参加も呼び掛けながら、地域の魅力を地道に伝えている。


◎ちょっと寄り道/東北大理学部自然史標本館(青葉区荒巻青葉)化石や鉱物 60万点所蔵

 青葉山地区(青葉区)と八木山地区(太白区)を隔てる雄大な竜ノ口渓谷には、約500万年前に堆積した竜の口層という地層があり、化石採集地として知られる。仙台市中心部にほど近いのだが、哺乳類や貝類、甲殻類など多種多様な生物の化石がザクザクと見つかる谷底として知られる。
 1999年、東北大大学院生がここで鯨の化石を発見した。同大理学部自然史標本館(青葉区荒巻青葉)で、その鯨の頭部から胸がそろった産出状態の複製模型を見ることができる。
 館内はこの他、恐竜の全身骨格模型や動植物の化石、鉱物など約1200点を公開中。「童話作家の宮沢賢治が花巻市のイギリス海岸(北上川西岸)で見つけたクルミの化石もあるんですよ」と標本に詳しい藤沢敦教授(57)=同大総合学術博物館館長=。所蔵品は計60万点を超えるという。
 2015年12月に市地下鉄東西線が開業し、青葉山駅ができて家族連れの来館が増えた。藤沢教授は「もっと子どもたちが楽しめるよう、展示方法を工夫していきたい」と知恵を絞る。

<メモ>開館は午前10時〜午後4時。入館料は高校生以上150円、小中学生80円。月曜休館。連絡先は022(795)6767。

大学院生が竜ノ口渓谷で発見した鯨の化石の産出状態を複製した模型

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2018年04月26日木曜日


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