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<大川小津波訴訟>高度な防災対策求める判決 教育現場困惑「対応できない」

 仙台高裁で26日にあった石巻市大川小津波事故訴訟の控訴審判決は、教育関係者に衝撃を与えた。判決は、事前の防災対策の過失を認めつつ、地域住民の知識や経験を超える高度な防災対策を学校側に求めた。教育現場は極めて重い課題を突き付けられ、「対応できない」と困惑が広がる。

 「次の犠牲を出さない教訓と受け止めるが、安全安心をどこまで突き詰めればいいのか分からなくなる」。宮城県沿岸部の小学校の校長は、判決を知ってがくぜんとした。
 判決は、校長ら学校側に必要な知見について「住民が有する平均的な知識、経験よりもはるかに高いレベルのものでなければならない」と要請した。
 沿岸部の校長は「住民の話を聞き、地域で発生する災害の特性を把握するだけでは不十分なのか」と戸惑う。高度な安全確保義務が求められ「普段の野外活動でも敏感になり、落ち着いて取り組めなくなる」と判決の余波を懸念する。
 判決は、津波ハザードマップが示す浸水予想区域についても「教師は、独自の立場から批判的に検討することが要請される場合もある」と指摘した。
 「マップを疑うのは無理。厳しすぎる」。岩手県の元小学校長は判決に耳を疑った。学校現場が混乱しないように、行政や学識者の支援を求めた。
 太平洋を望む千葉県の市教委担当者は「私たちはそもそも土木や気象の専門家ではなく、学校も市教委も本当に多忙で手が回らない」と打ち明ける。
 宮城県教組は教職員の多忙化を解消し、教職員間のコミュニケーションを高めなければ実効性ある危機管理マニュアルの見直しは進まないと指摘。「学校で多くの命が失われたことを重く受け止めている。学校が子どもの命を守るために機能するように教育条件の整備を求めたい」との談話を出した。
 判決は、石巻市教委が大川小の危機管理マニュアルの不備を指導しなかった点についても過失を認めた。
 南海トラフ巨大地震に備えた対策を進める兵庫県教委の担当者は「科学的知見に基づき、学校現場をフォローすることが大切だと改めて認識した。児童生徒に対する実践的な防災教育をさらに進める」と話した。


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2018年04月27日金曜日


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