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<大川小津波訴訟>危機管理指針の見直し必至 専門家「限界がある」

大川小の教育計画につづられた危機管理マニュアル。津波時を含めた校庭からの避難場所は「近隣の空き地・公園等」と曖昧な表記だった
仙台高裁が指摘したマニュアルに関する責務

 石巻市大川小を巡る訴訟の仙台高裁判決は26日、東日本大震災当日の避難行動が遅れ、多数の児童が犠牲になった背景に危機管理マニュアルの不備があると認定した。マニュアルは緊急時に教職員が取るべき行動を定めた学校防災の指針。事前の備えを教育界に強く求めた画期的判決を受け、全国の教育現場は安全管理の見直しを迫られる一方、専門家は学校と教育委員会のみの対応は限界があると指摘する。
 判決は大川小の校長や教頭らと市教委に対し、「宮城県沖地震を想定した避難場所や避難経路・方法をマニュアルに記載するなど、適切な内容に改訂する義務があった」と指摘。津波対応の規定がなかったことを「避難開始が遅れた原因」と認めた。
 マニュアルには校庭から次の避難場所が「近隣の空き地・公園等」とだけ記載され、具体的な場所や移動の判断基準、避難経路については示されていなかった。一審仙台地裁は大川小が浸水予想区域外だったことなどを「学校の実情」として事前防災の不備を免責したが、高裁は「実際の立地条件に照らし、より詳細な検討が必要」と判断した。
 その上で(1)北上川から約200メートルの立地(2)想定されていた宮城県沖地震が発生した場合、隣接する北上川からの越流や堤防決壊の恐れがあるなどの知見−を「最も重要な大川小の実情」と強調。市教委に対してもマニュアルの内容の確認や不備の指導を求めた。
 国の調査によると、岩手、宮城、福島の被災3県では震災前、9割の学校がマニュアルを整備していたが、浸水予想区域の内側でも4割近くが津波対応を規定せず、訓練も実施していなかった。「学校のアリバイづくり」(学校防災関係者)に陥り、形骸化していた側面がある。
 国は2015年3月、マニュアルの策定に関して「自治体の地域防災計画や国民保護計画等についても考慮」するよう学校側に通知。「未策定の学校は公表する」と締め付けを図った。
 国士舘大の堀井雅道准教授(教育法学)は「さすがに地域防災計画まで学校に『調べて』と言うのはかなり酷だ」と指摘。「管理職を含め教員は異動があり、学校のみに『実情』を把握させ改善を求めるのは限界がある。マニュアルの改善は、自治体の防災行政部署による支援や助言が不可欠だ」と提言する。

<危機管理マニュアル> 2009年4月施行の学校保健安全法29条で明文化され、幼稚園から大学までの全ての学校に作成が義務付けられた。学校と教育委員会は「学校の実情」に応じた内容の策定が必要になるが、国は「実情」の具体的内容を示していない。同法は校長に対し、教職員への周知や訓練実施など危険時に適切な対応ができるよう事前の準備も求めている。


関連ページ: 宮城 社会 大川小

2018年04月27日金曜日


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