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<東北大>世界トップの研究拠点に 被災地の産業振興支援も/大野英男新総長に聞く

大野英男(おおの・ひでお)東大大学院工学系研究科博士課程修了。北大工学部助教授などを経て1995年東北大電気通信研究所教授。13年同所長。15年総長補佐を兼務。専門は電子工学、スピントロニクス。東京都出身。

 東北大の第22代総長に今月1日付で就任した大野英男氏(63)に、今後の大学運営の展望などを聞いた。電子が持つ電気的な性質と磁石の性質の両方を併せて使う「スピントロニクス」など、世界水準にある研究をさらに強化し、世界でトップレベルの研究拠点を形成する考えを強調した。(聞き手は報道部・山口達也)

 −「世界30傑の大学」との方針を掲げている。
 「30傑は欧米の専門誌などが毎年公表する大学ランキングに入るということではない。そういったランキングとは一線を画し、研究活動の面で世界に尊敬される大学を目指す」
 「東北大が本当に強い部分をさらに強化する。特に『材料科学』『スピントロニクス』『未来型医療』『災害科学』の4分野は世界でトップと自負している。災害科学は学問として確立されておらず、研究を進めることで世界の防災対策などの貢献につながる」

 −国際共同大学院の設置などグローバル化を見据えた運営を進めている。
 「国際共同大学院は博士号を持つ院生が中心。海外の有力大学と連携し、共同教育を実践する。生命科学分野など5年以内に10大学院を創設する予定だ。院生は6カ月間、海外に留学することを義務付けており、グローバルな人材育成にもつながる」
 「日本の科学技術研究は孤立していると言われる。グローバルで戦うには海外と連携していくしかない。その中でも共同大学院を通して、東北大が中心的な役割を果たしていきたい」

 −次世代放射光施設の拠点整備計画がある。
 「放射光施設は世界中の研究者が利用する。放射光技術で先導でき、世界のネットワークも形成できる。産業界の応援も強みだ。企業側の使用も期待できる。世界中の研究者が東北大を訪れたついでに東北各地を回るなど、観光面でも効果をもたらすだろう」

 −被災地にある大学として今後、被災地とどう向き合っていくのか。
 「予算的に終了したプロジェクトもあるが、臨機応変に被災地の心のケアにつながる活動を続けていく。被災地域の産業振興も支援する。特に被災地でベンチャーによる起業をどうもり立てていくか。事業を始める上での教育の場などを提供したい」

 −総長自身、ノーベル賞候補と言われている。
 「期待されるのはありがたいが、賞というものは研究の結果、後から付いてくるもの。総長の立場としては東北大の研究者が受賞してほしい。東北大が素晴らしい研究を進めてきたことを世界に示せるし、学内の励みにもなる」


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2018年04月30日月曜日


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