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<大川小控訴審判決 3氏の見方>防災指針有効か検証を/国士舘大准教授・堀井雅道氏

堀井雅道(ほりい・まさみち)氏 早大大学院文学研究科教育学専攻博士課程単位取得退学。2016年4月から現職。日本教育法学会特別委員会に所属し、04年に「学校安全法」要綱案を公表。学校安全全国ネットワーク副代表。主な著書に「みんなの学校安全」(エイデル研究所)。教育法学。栃木県日光市出身。40歳。

 石巻市大川小津波訴訟の控訴審判決は、事前の備えを放置した校長ら学校幹部と市教育委員会の組織的な過失を認め、それぞれに安全確保の義務を課した。求められる教育行政や教員の資質とは何か。教育専門家の3氏に判決への評価と、「学校の安全」の実現に向けた課題を聞いた。(大川小事故取材班)

 学校防災の問題を真正面から捉えた画期的な判断だ。2009年4月に施行された学校保健安全法の意義を踏まえ、防災指針となる危機管理マニュアルについて学校と教育委員会それぞれの法的責務・役割を具体的に示した点は大きい。
 特に、市教委には内容を是正・指導すべき義務があったと認めた。防災を含めたさまざまな対策が学校任せになりがちな中、教育行政の果たすべき役割に言及したことは意義深い。
 教育関係者は学校や地域の実情に応じたマニュアル改訂が強く求められる。学校防災関連の国の通知・手引などをもう一度独自に検討し、想定を尽くした具体的な対策が欠かせない。
 「臨機応変」は確かに大切だが、ゼロからではかなりハードルが高い。子どもを預かる学校の臨機応変の幅を少しでも減らし、迅速に安全を確保する作用がマニュアルにはある。現場にいた教頭は校庭から次の避難場所を判断できなかった。適切なマニュアルを事前に作り、校長は内容を教職員と共有しておく法的義務があった。
 第二の大川小を生まないために、津波が想定されていない地域や学校も「決して人ごとではない」と認識したい。学校はマニュアルを確認し、地域の実情について自治体の防災計画やハザードマップなどを考慮した上で、全教職員で改善点を検討することが必要だ。
 教委も事前防災を学校任せにせず、自治体の防災行政と連携しながら、実効性のあるマニュアルの策定に向けて指導や助言、積極的な人的支援を進めていかなければならない。
 大川小事故を受け、マニュアルの見直しや防災教育の充実が各地で進む。判決を受け、本当に学校と地域の実情を反映した内容になっているか、災害発生時に本当に有効か、改めて検証してほしい。マニュアルの内容は子どもや保護者、地域住民の視点から検証することも大切だろう。
 教育現場は多忙化が進み、根本的には教職員定数の改善を含む法改正を要請したい。国は被災の危険性が高い自治体や学校に対して最新の知見・事例を提供し、マニュアルの改善を支援すべきだ。
 高裁は大川小を地域の避難場所に指定したこと自体を誤りと判断した。自治体が想定を改めるのはもちろんだが、市民も行政の情報をうのみにするのではなく、日常的に防災意識を高め、災害発生時には常に最善を尽くした主体的な避難行動が求められる。


関連ページ: 宮城 社会 大川小

2018年04月30日月曜日


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