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<この人このまち>6次化で稼げる農業を 福島で起業した元キャリア官僚

小林味愛(こばやし・みあい)1987年東京都生まれ。慶応大卒。国家公務員となり衆議院、経済産業省勤務。日本総研を経て2017年8月、福島県国見町に「陽と人」を設立。

 小林味愛さん(31)は東京生まれの元キャリア官僚だ。福島県国見町で起業し、地域課題の解決に取り組むソーシャルベンチャー「陽(ひ)と人(びと)」を設立した。農産品の販路開拓や地域づくり事業を展開。「持続可能な地域循環型経済」の実現を目指す。(福島総局・阿部真紀)

◎「陽と人」代表取締役 小林味愛さん(31)

 −元官僚。どうして国見町で起業を。
 「経済産業省勤務時代、ローカル経済圏の政策業務に携わった時、データからは見えない現場のことが何も分かっていないと気付きました。地方を活性化するにはどうしたらいいかを知るには国家公務員じゃない方がいいと思いました」
 「転職先で国見町の教育事業の立ち上げに関わり、地元の人たちと交流し、居心地の良さを感じました。会社設立は福島に身を置きながらできることをしたいと考えたため。今は福島と東京を行き来する2拠点生活を送っています」

 −どのような事業に取り組んでいますか。
 「国見町の農産品の販路拡大や6次化商品の開発を手掛けています。東京出身の強みを生かし、商品の魅力を直接伝える対面販売が可能な場所や客層を考えて取引先を開拓しています。お客さんの反応を探るため店頭にも立っています」

 −大切にしているのは。
 「福島で心からおいしいと思える食べ物に出合い、食へのありがたみを感じるようになりました。味は抜群なのに、傷が付いてしまっただけで廃棄するのは本当にもったいない。傷物を使ったスイーツや化粧品などの6次化商品も、そんな発想から考案しました」

 −社名に込めた思いは。
 「地域の人々を太陽の光で明るく照らせる会社にしたい。東京で仕事をしていた頃は地域への愛着はなく、常に職場近くに住んでいました。今はのどかで居心地の良さを感じるこの地に、居場所があることに感謝しています」

 −今後はどんな事業展開を考えていますか。
 「来年には友人と別の会社を立ち上げ、ゲストハウス事業にも取り組む方針です。空き家などを活用した『エリアリノベーション』。地域に滞在しながら人とつながれる拠点づくりに挑みます」
 「地方はますます、人口減と税収減が進みます。そのあおりを受けるのは子どもたち。基幹産業の農業でしっかりと稼ぎ、生まれた利益を若者の教育に再投資することが何より重要。事業を通じ、そうした循環型経済の構築を目指します」


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2018年04月30日月曜日


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