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<災後に育つ>乗り越える経験 伝えて/宮城教育大大学院教育学研究科准教授 小田隆史さん

おだ・たかし 東北大大学院博士課程修了。2017年12月から現職。震災の記憶・教訓の伝承を検討する宮城県の有識者会議委員も務めた。専門は地理学。いわき市出身。39歳。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から7年が経過し、被災地の学びやは「災後」の2011年度生まれの新入生を迎えた。岩手医大いわてこどもケアセンターの八木淳子副センター長、宮城教育大大学院教育学研究科の小田隆史准教授に、子どものケアや持続的な防災教育などを聞いた。

 被災時の記憶を持たない子どもが入学して来る中で、災害の恐ろしさを語り継ぐことも大事だが、「社会が災禍をどう乗り越えてきたのか」という部分を併せて伝えることが大切だ。
 教員の防災意識には差がある。「3.11」を教える上で参考にできる指導書などが必要。被害を伝える震災遺構も、学ぶための教材としては十分でない。教育行政がしっかり関わり、見学や事前学習を支援する取り組みが欠かせない。
 学校教育に防災を行き届かせるという点で、防災担当の教員の配置などは評価できる。宮城県教委が教員採用で設けた沿岸部の「地域枠」も、震災伝承の担い手確保につながる。
 一方、防災を特定の教科や教員に任せきりにしてはいけない。幅広い活動で防災マインドを持った児童を育てるには、カリキュラムマネジメントが求められる。教員一人一人が命を守る主体。防災の優先度を下げないために、現場の多忙化を改善すべきだろう。
 原発事故で長い避難生活を余儀なくされた福島の児童らは、避難先が「原風景」となっている面がある。学校教育では避難元を含む両方の地域を理解させるベースをつくることが重要かもしれない。
 避難の経緯や「古里」の変化について、被災の記憶のない児童にどう伝えるかは、教員や親の語りによる部分が大きい。きちんと説明できる学習教材やアーカイブ的な資料も必要だ。(聞き手は報道部・菊池春子)


2018年05月02日水曜日


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