岩手のニュース

<災後に育つ>学校は背景見て対応を/岩手医大いわてこどもケアセンター副センター長 八木淳子さん

やぎ・じゅんこ 福島県立医大卒。盛岡少年刑務所医務課などを経て2013年4月から現職。震災後、岩手県沿岸部で被災した子どものケアに従事する。山形市出身。50歳。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から7年が経過し、被災地の学びやは「災後」の2011年度生まれの新入生を迎えた。岩手医大いわてこどもケアセンターの八木淳子副センター長、宮城教育大大学院教育学研究科の小田隆史准教授に、子どものケアや持続的な防災教育などを聞いた。

 震災後の11年度に岩手、宮城、福島3県の沿岸部で生まれ、生活する子ども223人の調査を16年度に始めた。保育園や保健師から聞こえてきた「震災後生まれの子どもたちに落ち着きがない」という声がきっかけだった。
 診療での実感とも一致したため、調査して支援する必要を感じた。絵画の作成や積み木の操作を通じた認知発達の調査で、同年代と比べて遅れがみられた。語彙(ごい)は半年の遅れがあった。
 保育士の観察で、子どもの36.5%に情緒、行動上の問題があるという。母親は3人に1人が精神的な不調を抱えており、子どもの認知発達の遅れと関連がみられる。
 震災を直接経験していなくても、家族の精神状態を通して影響を受けているのではないか。震災後の混乱期に乳児期を過ごした子どもは、生きていく基盤となる『愛着』の形成が十分でなかった可能性がある。
 平時であれば「ちょっとのんびり屋さんだね」「元気があるね」という程度で済んでいた状況が、家族や地域によるサポートが目減りしたため、情緒や行動上の問題として表れているのだろう。学校は単純に発達障害と結び付けず、児童や家庭の背景を見ながら対応してほしい。
 これまで保育園と連携してきたように、小学校とも連携を確立したい。調査を12年間続けて、結果をフィードバックしながら必要な支援につなげたい。(聞き手は報道部・庄子晃市)


2018年05月02日水曜日


先頭に戻る