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<老朽空き家対策>代執行が倒壊事故回避の切り札に 日本海側の豪雪地で重宝、課題は費用回収

湯沢市にある廃業ホテルの渡り廊下。積雪時は国道398号の通行に危険が生じるため、市が建物の撤去を計画している=4月中旬

 老朽化した空き家などを所有者に代わり、市町村が解体する行政代執行の制度が東北の豪雪地で重宝されている。2015年施行の空き家対策特別措置法に基づき東北で行われた代執行5件は、いずれも日本海側の特別豪雪地帯だった。所有者からの費用回収は容易ではないが、積雪による倒壊で周囲を巻き込む事故を防ぐ切り札になっている。

 特措法は危険な建物を市町村が「特定空き家」に指定し、勧告や命令に所有者が応じない場合に解体を強制執行できると定めた。所有者に請求が可能な「代執行」と、所有者が不明な場合の「略式代執行」の2種類あり、昨年10月1日までに全国で計60件行われた。
 東北では、今年3月末までに代執行が山形県川西町で2件、湯沢市と秋田県上小阿仁村で各1件実施された。略式代執行は五所川原市で1件行われた。
 川西町の2件は木造家屋で、隣家や県道に倒れかかっていたという。町の担当者は「雪下ろしがままならず、冬期間に傾きが大きくなった。やむを得ず代執行の手続きを取った」と説明する。
 課題は費用面。モラルハザード(倫理観の欠如)防止の観点からも行政は所有者に費用を請求する。しかし、代執行に至るような場合は所有者が費用を負担できない事情を抱えるケースが多いとみられ、「貸し倒れ」も想定される。
 湯沢市は昨年11月の廃屋の代執行に続き、本年度は小安峡温泉で廃業ホテルの略式代執行に踏み切る。屋根が陥没し、国道398号をまたぐ渡り廊下からの落雪も懸念されていた。
 費用はアスベストの調査費を含め約1億5600万円を見込み、うち市が約9200万円を支出する。運営会社は既に解散し、費用を請求しようにもできない状況だ。
 市くらしの相談課の照井匡毅課長は「廃ホテルは目立つ場所にあり、観光イメージを損なっていた。長年の懸案を解決できるが、自治体の負担は重い」と補助増額を求める。


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2018年05月02日水曜日


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