山形のニュース

「千年切るなかれ」伝承も被害に勝てず…悲恋物語の地、山形・千歳山が松くい虫に涙 切り倒した松8000本超

アカマツが大幅に減った千歳山。ナラなどの広葉樹が目立ち始めている
松枯れ被害の拡大を防ぐため千歳山で切り倒されたアカマツ=今年2月(西村山地方森林組合提供)

 美しいアカマツ林で知られ、阿古耶(あこや)姫と松の木の精との悲恋物語が残る山形市の千歳山(471メートル)で、松くい虫による被害が深刻化し、アカマツが大幅に減少している。昨年度は被害が初めて確認された1982年度以降、最も多い808本を切り倒さざるを得なくなった。松林の再生を願って植樹などを続けてきた地元住民からは「どんどん松が減っていくのは悲しい」との声が上がる。
 山形森林管理署(寒河江市)によると、千歳山で松枯れ被害の拡大を防ぐために切り倒された松の木は、これまで8000本を超える。
 被害が初確認された82年度は30本だったが、90年度以降は毎年100〜600本に増加。昨年度は調査範囲を広げたこともあって過去最多となった。
 アカマツの減少に伴い、以前はほとんどが松林だった山頂付近でも、現在はナラなどの広葉樹が広がっている。
 松枯れの原因となる松くい虫(マツノザイセンチュウ)は、マツノマダラカミキリという昆虫の体内に入って移動し、被害を拡大させる。対策として、マツノマダラカミキリが羽化して木から抜け出す6〜7月の前に被害木を切り倒し、薬剤や薫蒸でマツノマダラカミキリの幼虫やさなぎを死滅させる方法が主流だ。
 被害対策の作業を受託している西村山地方森林組合(山形県西川町)の鈴木淳さん(32)は「薬剤による予防策もあるが、現状ではこの方法が最も効率的だ」と話す。
 92年から2004年まで松くい虫に強い抵抗性のあるアカマツの植樹などに当たった住民団体「千歳山の松を守る会」の初代会長佐藤久さん(86)=山形市=は「植樹した木も被害に遭っている。生まれた時からあった松林が失われていくのは寂しい」と話す。

[阿古耶姫と松の木の精との悲恋物語]約1300年前、中納言藤原豊充の娘で真珠のように美しい阿古耶姫が、千歳山の松の精・名取左衛門太郎と恋に落ちた。だが、橋の材料とするため松は伐採され、悲しんだ姫がその跡に若松を植えて弔ったという話などが残る。姫が松を植えた際に「千年切るなかれ」と唱えたことが、「千歳山」の由来とされる。


関連ページ: 山形 社会

2018年05月02日水曜日


先頭に戻る