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<憲法考―東北から>(下)国民投票と民主主義/迫る選択 もろ刃の剣

憲法問題を若者たちが気軽に語り合う「憲法こねこね」。イデオロギーにとらわれず憲法を学ぶ動きが出ている

 仙台市若林区にあるビルの一室で4月中旬、20〜40代の大学生や社会人ら7人がジュースを飲みながら夜遅くまで話し込んだ。
 「自衛隊を9条に明記すると何が変わるの?」「憲法を知っている人だけで議論が進むのは怖い」
 若者が国のかたちを車座になって語り合う「憲法こねこね」。改憲勢力が国会発議に必要な3分の2以上の議席を占めた衆院選の直後、昨年11月に始まった。

<意識を高める>
 選挙情報をネットで発信しているNPO法人メディアージ(仙台市)の漆田義孝常務理事(34)が改憲の動きをにらみ企画。与野党の政治家を招いた討論会も開いた。
 「憲法問題に疎い人が知りたいのは改憲か護憲かの結論ではなく、どう考えたらいいか」と漆田さん。憲法に対する一人一人の意識をいかに高めるか−。視線の先には、改憲の是非を最終的に決める国民投票がある。
 憲法96条は改憲の要件について「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」で国会が発議し、国民投票で過半数の賛成が必要と定めている。改正が難しい「硬性憲法」とされるゆえんだ。
 2020年の改正憲法施行を目指す安倍晋三首相は昨年の国会答弁で「国民投票が本番」と位置付け、「2分の1は大変高いハードルだ」などと強調した。
 実施されれば憲政史上初となる国民投票。結果にかかわらず、主権者たる国民の直接の意思表示は極めて重く、改憲、護憲両派にはもろ刃の剣でもある。

<最後のとりで>
 「国民の正確な意思を伝えるのは直接民主主義しかない。国民投票は最後のとりでだ」。改憲に反対する東北六県市町村長9条の会連合の共同代表で、元白石市長川井貞一さん(85)の言葉には実感がこもる。
 白石市は1998年、民間産廃施設建設の是非を問う住民投票を実施。全有権者の3分の2が反対し、計画は白紙に戻った。当時市長だった川井さんは「住民投票が決め手になった」と回想する。
 元福島県塙町長の二瓶隆男さん(80)は住民投票に苦い記憶しかない。町長時代の2003年、東白川郡3町村の合併の是非を問う住民投票を実施したが、塙町など2町村で反対が多数を占め破談となった。
 合併を推進した二瓶さんは「説明を尽くしきれなかった」と後悔しつつ、「無関心な人が多く、どうでもいいと考える人が曖昧な投票をした。それでも同じ1票だから怖い」。人口減少にあえぐ古里の現状にため息が出る。
 民主主義はどうあるべきか。過去の住民投票は現実味を帯びつつある国民投票に課題を突き付ける。二瓶さんは「衆愚に陥るのは最悪。民主主義は手間暇がかかるが、丁寧に周知するしかない」と警鐘を鳴らす。


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2018年05月03日木曜日


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