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<震災遺構>旧荒浜小、公開1年で7万7363人見学 防災教育への活用課題

一般公開から1年が過ぎた旧荒浜小。国内外から7万7363人が見学に訪れた

 仙台市が東日本大震災の遺構として保存した若林区の旧荒浜小が昨年4月30日に一般公開され、1年が過ぎた。首都圏を中心に7万7363人が見学に訪れ、被災当時のまま残る津波の爪痕を目の当たりにした。一方、市内の小中学校の訪問は少なく、震災の伝承と防災教育への活用が課題となっている。(報道部・長谷美龍蔵)

 市によると、見学者は1日平均約180人。最多は震災7年を迎えた3月11日の約2200人。家族連れや観光客、企業などの研修で訪れる人が多いという。
 おおむね宮城県外が6割、県内が3割、海外が1割を占める。首都圏や関西のほか、南海トラフ巨大地震に備える静岡県、最大震度7を2度も経験した熊本県からの見学者もいた。
 被災当時、児童や住民らが屋上に避難し、全員救助されるまでの経過を伝える17分間の映像「3.11 荒浜小学校の27時間」、震災前の荒浜の街並みを再現した模型などをじっくり見学する人が多いという。
 市防災環境都市・震災復興室の高橋輝室長は「被害の大きさだけでなく、荒浜にあった人々の暮らしにも思いを巡らせ、震災の教訓を深く考えてくれている。震災遺構が持つ伝える力ではないか」と評価する。
 課題は学校教育への活用だ。校外学習などで訪れた市内の小学校は11校、中学校は5校にとどまった。新年度が始まった後に一般公開され、学校行事に組み込めなかったとみられる。同室の担当者は「現地までのバス代や教材づくりがネックになった可能性もある」と分析する。
 旧荒浜小は、本年度から小中学生向けの防災教育副読本「3.11から未来へ」に写真などが載り、授業で取り上げられている。だが、現地の見学は各校の判断に任されている。
 市は本年度、宮城教育大や市教育センターと連携し、旧荒浜小を活用した教育プログラムの研究に乗り出す。市立高の新任教員、宮教大の大学院生を対象にモニターツアーを実施し、防災教育への活用案や必要な教材などを検討する。
 高橋室長は「学校教育への活用は震災伝承の重要な柱。小中学校が荒浜を訪れやすい環境づくりを積極的に進めたい」と話す。

[旧荒浜小]1873年創立の仙台市立小。東日本大震災の津波で4階建て校舎の1、2階が浸水した。児童、教職員、住民ら計320人が屋上に避難し、救助された。2016年3月閉校し、142年の歴史に幕を閉じた。市は17年4月30日に震災遺構として一般公開。1、2階の教室や廊下に津波の爪痕が残り、4階では映像や写真で荒浜地区の被害状況を伝える。見学自由で、希望すれば市嘱託職員がガイドする。開館時間は午前10時〜午後4時(6日までは午後5時)。


2018年05月05日土曜日


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