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<展望 半島の拠点>石巻復興まちづくり(中)雄勝/観光物産、重点に強化

造成が進む雄勝中心部地区の拠点エリア予定地
石巻市雄勝町地区の拠点エリアの完成イメージ図

 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市の北上、雄勝、牡鹿の3地区で拠点エリア整備が進む。公共の建物や観光施設、商店を集約させる計画で、いずれも2019年度中の完成を目指す。市街地に比べ復興の遅れが指摘される半島沿岸部の将来を展望する。(石巻総局・鈴木拓也、関根梢)

<硯の魅力紹介>
 リアス海岸の風光明媚(めいび)な海岸線を誇った石巻市雄勝町。現在、海岸線には海と生活空間を隔てるような巨大防潮堤がそびえ立つ。
 新拠点は海抜9.7メートルの防潮堤背後地に土盛りして整備する。伊勢畑地区の防災集団移転地に隣接し、総面積は約3.2ヘクタール。
 基本計画は2015年度に策定された。防潮堤の高さを巡る議論が決着せず、計画は約1年半、棚上げになっていた。防潮堤の計画高決定後、整備が本格化し、今秋にも建物の建設が始まる。完成予定は19年度後半。
 総合支所や消防署など行政機能の集約に加え、新拠点の機能として期待されるのは観光だ。
 10年の国勢調査で約4000だった雄勝町地区の人口は今年3月末時点で約1500まで減少した。交流人口の拡大に向け、エリア内には特産雄勝石を使った雄勝硯(すずり)の魅力を伝える伝統産業会館と、地元事業者らが入る観光物産交流施設を新たに配置する。
 5階建てだった伝統産業会館は津波で4階の天井まで浸水。多くの展示物が散逸したが、重さ約500キロの巨大すずりは流失を免れた。広島県熊野町から贈られた熊野筆の大筆は津波で破損した上に盗難に遭ったが、16年秋に「新しい会館に展示してほしい」と再び寄贈された。
 雄勝硯生産販売協同組合理事長の沢村文雄さん(70)は「日本一大きな硯をもう一度見てほしい。子どもたちが雄勝の伝統や文化に触れる場になればいい」と復旧を心待ちにする。

<意識に変化も>
 観光物産交流施設は、地元の複数の事業者が一つの施設に入居する初の施設になる。現在、地区の中心部にある仮設商店街「おがつ店(たな)こ屋街」の後継施設に位置付けられる。
 震災前の雄勝町地区は道路沿いに商店などが点在していた。店こ屋街は被災した事業者が集まって11年11月に営業を始めた。
 現在の主要な客層は復興事業の工事関係者。市雄勝総合支所の担当者は「将来を見据え、観光客の獲得に軸足を置かなければならない」と新施設に期待する。
 石巻かほく商工会の会長も務める沢村さんは「店こ屋街で各店舗が肩を並べて商売し、切磋琢磨(せっさたくま)しようという意識が少しずつ育まれてきた」と手応えを語りつつ、「南三陸町のさんさん商店街など、先例に学びながら新拠点を成長させていきたい」と古里の再生を思い描く。


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2018年05月05日土曜日


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