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<漁師縁組 青森・佐井村>樋口秀視村長に聞く/新たな力 地域で育む

漁師縁組事業について力説する樋口村長

 過疎化が進む漁村の後継者不足対策として、青森県佐井村が始めた漁師縁組事業が順調な滑り出しを見せ、2年目に突入した。全国から注目を集める事業への思いを樋口秀視村長(67)に聞いた。(聞き手はむつ支局・勅使河原奨治)

 −始めるきっかけは。

<交付金を活用>
 「国の地方創生事業を活用した。村の基幹産業の漁業をどうすれば立て直せるかを考え、総合戦略を作って交付金を申請した。コンサルタントは使わなかった。地域事情を知っている自分たちだからこそ、地域に合った計画を迅速に作ることができた」

 −村の漁業の現状は。
 「高齢化で漁師の体力が落ちて生産性が下がり、収入も下がる悪循環。村内で担い手が育たない危機的な状況だったため、外部に新しい力を求めることにした」

 −改めてどのような仕組みなのか。
 「村で漁業に取り組む18〜50歳の男女を全国から募り、地域おこし協力隊員として委嘱する。報奨金を受け取りながら3〜5年かけて村の各地域で漁業を学び、正組合員か準組合員として独立してもらう」

 −受け入れる際のポイントは何か。

<「仲間」として>
 「人間関係が出来上がらないうちは何を教えても身に付かない。行政、漁協、地域が一丸となって村民と同じ立場の仲間として迎えるようにした。縁組の人らには漁だけでなく地域活動にも参加してもらうようにお願いしている」
 「農業にしろ、漁業にしろ権利がある職種のため、自分さえ良ければいいという考え方がまん延していた。指導者への謝礼は個人にではなく、地域の漁師会など団体に払うようにした。全体で見守ってもらうようにした」

 −残念ながら1人が脱落した。
 「こちらの狙いや目的が向こうに正確に伝わっていなかった。すぐに漁業権を手に入れて稼げると思っていたようだ」

 −課題は。
 「3年目までは国の交付金が出るが、4年目、5年目は村の持ち出しになる。たった3年で自立できるほど漁業は甘くない。国に交付金の延長を望んでいる」

 −今後の展望は。
 「2期生、3期生を募っていきたい。漁師縁組で来た彼らが生活できる漁業スタイルを確立することで、地元の子どもたちが漁師を目指すようになってほしい」


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2018年05月06日日曜日


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