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<大川小訴訟>学校・教委に「安全確保義務」 最高裁の評価焦点

 事前防災の是非が最大の争点となった石巻市大川小津波訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は学校保健安全法を論拠に学校と市教委が負うべき「安全確保義務」を初めて定義した。被告の市と宮城県が上告した場合、同義務違反による過失を認定した高裁の判断枠組みに対する最高裁の評価が焦点となる。

 高裁は児童の安全確保を「公教育制度に不可欠の前提」とした上で、同法を「根源的な義務を明文化したもの」と解釈。義務内容は校長や教委がそれぞれの「実情」に関する情報を収集蓄積した結果で定まり、規範性を帯びると指摘した。
 人の行動を制約する組織の管理者には一般的に安全配慮義務があるが、高裁は安全確保義務を「(安全配慮義務とは)性質が異なる」と位置付けた。
 学校と教委に安全確保の組織的取り組みを強く求める背景には、学校教育法による就学義務と通学区域制の存在も大きい。学校での安全を確約できなければ、児童生徒の養育監護を強制的に学校に委ねる義務教育の正当性が否定されかねないためだ。
 「学校と市教委には平均より高いレベルの防災知見を得る義務があった」「危機管理マニュアルの作成過程で津波への危機意識が薄い住民を説得し、互いの避難行動の調整を図る義務があった」。学校保健安全法に基づき高裁が示した高い義務のハードルに対し、被告の石巻市と宮城県は「法の規定は努力義務にとどまる」と譲らない構えだ。
 同法については、一審仙台地裁も「定めるべき具体的な(対策)内容の規範が示されたものではない」と判示した。最高裁の判断は同法の解釈を巡る初判例となるため、教育現場の防災対策に決定的な影響を与えるのは確実だ。


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2018年05月08日火曜日


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