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東北の有機JAS農地減少 飼料米増、原発事故影響か 全国は拡大

 有機栽培の国内認証制度「有機JAS規格」の農産物を栽培する東北の農地が減り続けていることが分かった。農林水産省が新たに公表した2017年4月1日現在の面積は田畑合わせて1713ヘクタール。11年のピーク時から25.1%減った。増加傾向の全国と異なり、飼料米生産拡大や東京電力福島第1原発事故の影響を指摘する声が出ている。

 東北の有機JAS農地の推移はグラフの通り。田畑別で見ると、17年の水田は1201ヘクタールで、1500ヘクタールを超えた11年から20.6%減少した。畑は33.7%減の511ヘクタールだった。
 県別は秋田の落ち込みが目立つ。17年は田畑合わせて514ヘクタールと6県で最大だったが、11年比で36.5%、ピークの10年比で38.4%ダウンした。水田が中心の宮城も11年比33.4%減の254ヘクタール、福島も31.1%減の207ヘクタールだった。

<手間かかり負担>
 減少要因の一つと考えられるのが、手厚い交付金を背景にした飼料用米生産の拡大だ。16年産は前年より4000ヘクタール近く増加。17年産は東北全体で減少に転じたが、宮城、福島はともに300ヘクタール以上増えた。
 大規模農家が飼料用米生産を担う例が多い。有機JAS認証機関のNPO法人環境保全米ネットワーク(仙台市)の高橋芳道事務局長は「担い手不足も加わって中核農家の経営面積が拡大し、手間のかかる有機栽培への負担感が増している」と指摘する。
 福島では、認定農業者「エコファーマー」が多い浜通りの生産者が原発事故で営農休止に追い込まれた。県の担当者は「やっと営農再開にこぎ着けたところ」と説明する。

<安全意識変化も>

 秋田県立大の谷口吉光教授(農業食料社会学)は「安全性に対する認識の変化や低価格志向から、若い世代の購入が減り、有機米の価格が下がっていることも減少の理由」と指摘。同県大潟村の有機農家、相馬喜久男さん(67)は「認証を取得しない有機農家も増えている」と語る。
 秋田県内では15年、秋田市の肥料製造会社による成分偽装が発覚。有機JAS農地の減少に影響しているとの見方もある。
 原発事故の風評払拭(ふっしょく)を目指す福島県は昨年から、新規の取得経費の最大4分の3を助成するが、普及や支援の動きはそれほど活発ではない。各自治体などが取得を推進する生産工程に関する第三者認証「GAP(ギャップ)」の陰に隠れているのが実情だ。
 環境保全米ネットの高橋氏は「農家をサポートする体制が薄い。地域の農業事情をよく知る行政の積極的な支援が重要」と訴える。
 17年の全国の有機JAS農地は1万366ヘクタールで、11年から10.3%増えた。


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2018年05月10日木曜日


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