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<宮城県>3.11後に採用の職員3割に迫る 被災の記憶風化進む懸念、伝承強化へ

小斎さん(左端)の話に耳を傾ける宮城県の新採用職員=4月中旬、名取市閖上地区

 東日本大震災後の2011年度以降に宮城県が採用した職員が、全体の3割に迫っていることが11日、分かった。震災後の業務急増に伴う人員不足に対応するため、採用数を増やしてきたことが要因。発生当時の業務を体験していない若手を中心に被災記憶の風化が進む懸念があり、県は震災経験の伝承を強化する方針を打ち出した。

 任期付きや再任用を除く知事部局の正職員4709人(4月1日現在)のうち11〜18年度に採用された職員は1310人で、全体の27.8%に当たる。12年度当初の割合は6.7%だったため、その後の6年間で20ポイント以上上昇した。
 県は行財政改革として1985年度から段階的に職員数を減らしてきたが、震災を機に削減を凍結し人員確保を優先。震災発生時の業務を体験していない職員の比率が急速に高まっている。県幹部は「県内の被災市町にとっても共通の課題だ」と指摘する。
 「職員の視点で震災を改めて意識してほしい」(県公務研修所)との狙いから県は本年度、新採用の職員対象の研修カリキュラムに初めて被災地視察を取り入れた。
 新採用の46人が4月中旬に訪れたのは名取市閖上地区。語り部ガイドの小斎正義さん(76)が「建物を再建しても復興はこれからが正念場。皆さんの力添えをお願いしたい」と呼び掛けると職員らは表情を引き締めた。
 谷垣佑輔さん(22)=気仙沼地方振興事務所=は震災当時、宮城県亘理町の中学3年生だった。「震災をきっかけに、地域に人を呼び戻す仕事をしたいと思った。被災地を見て、改めて思いが強くなった」と決意を新たにした。
 県庁内での風化防止を巡っては、震災対応に当たった職員の証言を集めるなど記録の収集にも力を入れている。県震災復興計画(11〜20年度)の終了後をめどに記録集を作る計画だ。
 県震災復興・企画部の江口哲郎部長は「組織内の震災経験の伝承は待ったなしの課題だ。震災時にいた職員が引退していけば、知見は失われてしまう。経験をつなぎ、災害対応に強い県を目指したい」と話した。


2018年05月12日土曜日


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