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<宮城・亘理町長選>観光振興どう描く 交流人口増へ問われる手腕

7年ぶりに再開した鳥の海公園。右奥はリニューアルしたわたり温泉鳥の海=亘理町荒浜

 宮城県亘理町長選(20日投開票)が15日、告示される。東日本大震災で大きな被害を受けた町は、交流人口拡大をまちづくりの柱の一つに掲げているが、震災復旧が優先され町全体の観光資源を生かし切れていないのが現状だ。地域の魅力を観光客誘致にどうつなげるか。新リーダーの手腕が問われる。

<3ゾーンに分類>
 4月上旬にリニューアルオープンした同町荒浜地区の宿泊施設「わたり温泉鳥の海」。大型連休終盤の今月5日、日帰り入浴やレストランなど館内施設の1日の利用者数が過去最高の1390人を記録した。荒浜では震災で流失した運動施設「鳥の海公園」も4月に再建されるなど、復興加速へ地元の期待が膨らむ。
 一方、内陸部からは「復旧優先は仕方ないが、こちらにも目を向けてほしい」との声が漏れる。今期限りで引退する斎藤貞町長も町全体を見渡した観光振興策を念頭に「交流人口増加などで積み残した仕事は多い」と率直に語る。
 町は2015年度に策定した第5次総合発展計画で、町を観光・交流拠点となる「海ゾーン」「山ゾーン」、定住を促す「里ゾーン」の三つに分類した。
 震災前、町の観光は海ゾーンの荒浜がけん引していた。わたり温泉鳥の海が08年に開業、翌09年の町全体の観光客数は88万9780人で前年比7.5%増となった。だが10年には伸びが鈍化し始め、09年比3.0%増にとどまった。

<0.5%にとどまる>
 山ゾーンは総合計画で特に「歴史・文化拠点」と位置付けられた。しかし、山ゾーンの代表的な史跡で、ともに亘理伊達家ゆかりの大雄寺と称名寺の16年の推計観光客数は計3660人。町全体(71万5611人)の0.5%しかない。
 歴史歩きの地図作りや里山歩きを企画する住民組織「亘理地区まちづくり協議会」の会長で前町教育長鈴木光範さん(75)は「地域の歴史や文化を発信することは町を好きになってくれる人を増やすことになる」と強調しつつ、「史跡巡りや山歩きのための案内看板が少ない」と指摘する。
 JR常磐線亘理駅と各地を結ぶ二次交通でも課題がある。現在、荒浜などに向かう町民バスは平日運行のみ。町商工観光課の担当者は「町が増加を目指す訪日外国人旅行者は列車利用のケースが多い。平たんな町の特性を考えてレンタサイクルなどの検討を行っている」と説明する。
 国勢調査を基にした町の4月1日現在の推計人口は3万3110人。震災前(11年3月1日現在)から4.8%減った。町は交流人口拡大を、亘理駅など町内の3駅を中心とした里ゾーンなどでの定住人口増にもつなげたい考え。町独自の魅力を掘り起こし、観光拠点の回遊をうながすアイデアが求められる。


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2018年05月13日日曜日


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