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<仙台いやすこ歩き>(79)街の魚屋さん 鮮魚ずらり活気満ちる

 5月、街の若葉は一気に青葉へ。青葉といえば初ガツオ、そしてホヤ。初夏の海の幸が出回る季節でもある。
 「子どもの頃、魚屋さんで刺し身用に切っているのを見ているのが好きだったなあ」「そういえば街の魚屋さん、見なくなったね」と2人。頭の中のいやすこ地図をめくり、思い出した。あそこにあった!と早速やって来たのが仙台市青葉区木町通。かつてにぎやかだった木町通商店街に、今も変わらず看板を掲げる魚屋さん「鈴木水産」がそれだ。
 店頭には表面がぱんぱんの大きなホヤが積まれ、サザエ、アワビなどが入った生けすが置かれている。店内には殻付きカキ、ガゼウニ、天然タイ、初めて見るノドグロ、ホウボウ、カワハギ等々、冷蔵ケースには18種類の刺し身が並ぶ。
 「わぁ、昔のまんまの魚屋さん!」と感激しっ放しの画伯。かくいう私も同じだ。活気みなぎる店内で、有限会社鈴木水産の取締役店長・鈴木利幸さんにお話を伺った。創業は1973(昭和48)年で鈴木さんは2代目。お父さんの幸夫さんは元は名取市閖上のかまぼこ職人だったが、会社が廃業したため千葉県の魚屋で2年間修行した後、魚屋を開業したという。
 「父は83才ですが、母と共に今も現役。2人とも店で働いていますよ」と鈴木さんが快活に話しているところに、お父さんお母さんも加わり、街の歴史を教えてもらう。
 73年当時、魚屋さんだけでも木町、二日町、春日町界隈(かいわい)で10軒以上あった。「今は小売りだけの魚屋はこの界隈ではうち1軒、仙台市内全体でも少ないなぁ」と鈴木店長。
 鈴木店長の一日は早朝4時40分に起床し、市場の競りに参加することから始まる。そして夕方6時半まで、魚をさばいて、切って、売る、が続く。「モットーは『必要な時に必要なものを必要なだけ』。だから日曜も祝日も午後3時から6時半まで店を開けてるんだよ」。心意気も生きがいい。
 店の奥へ場所を移し、刺し身作りを見せてもらう。大きなまな板の上でカツオ1匹があっという間にさばかれ、盛り付けられてガラスケースへと並ぶ。見事な包丁さばきにまたまた感激。並べたそばから売れていくのも気持ちいい。
 店内を見渡せば男性の1人客、主婦、老夫婦、赤ちゃんを抱っこした若いお母さんと、お客さんの層も幅広い。「お客さんの舌も肥えているので、競りの時もこのランクなら応えられるなと思って選ぶんですよ」。従業員さんが焼き魚を焼く芳しい香りも漂う。大好きだった魚屋さんの空気に再び包まれ、なんて幸せなんだろうと思う。
 もちろん、いやすこはあれもこれもと夕食のおかずを買い込んだ。初めていただくホウボウの刺し身は白身の上品な味で、歯応えが絶妙。カツオは赤身の美しさから厚み、味わいまで大満足。総菜コーナーのホタテフライも甘いこと。どれもこれも初夏の海の幸に感動!でした。

◎ホヤ消費量 宮城が全国一

 初夏の魚の代表格であるカツオは回遊魚で、日本近海までやってくるグループは早春のマリアナ海域から北上して、南西諸島、土佐沖を経て、4月ごろに千葉県勝浦沖、さらに三陸へ。これを上りガツオといい、宮城県石巻や気仙沼沖にやってきたカツオが店へ並ぶのは6〜8月ごろとなる。三陸沖でUターンして南を目指すのが下り(または戻り)ガツオで、8月後半〜10月が旬となる。一匹丸ごとなら目が澄んでいるもの、さくや刺し身の場合は血合いのはっきりしているものが新鮮。
 カキは、主に養殖もののマガキと天然物の岩ガキが流通し、マガキは10月〜翌3月が旬だが、岩ガキは5〜8月とこれからが旬。
 最近は一年中見かけるホヤは、3〜4月から太り始め、6〜7月に甘味とうま味を増して食べ頃となる。宮城が生産量、消費量とも全国一の海の幸だ。ちなみにホヤは甘み、苦み、酸味、塩味、うま味の五つの味覚を全て味わえる唯一の食材といわれている。

 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。


2018年05月14日月曜日


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