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<タウン誌>冬物語紡いだ30年 「ゆきのまち通信」休刊へ

「スタッフ全員で休刊を決めた」という杉山さん(右)と小笠原さん=青森市長島の事務所
15日に配本された「ゆきのまち通信」第175号

 青森市の隔月刊タウン誌「ゆきのまち通信」が、15日配本(1日発行)の第175号で休刊する。「雪」をキーワードに雪国にまつわる作品や話題、情報を約30年にわたり発信してきたが、ここ数年の販売部数の低迷と広告の減収から決断。発行人の杉山陸子さん(77)は「復刊の日を目指し、再出発したい」と話している。
 杉山さんが代表を務め出版・広告・デザイン業務などを営む「企画集団ぷりずむ」(青森市)の編集発行。全国の雪国とネットワークを結んで語り合おうという発想を基に1989年に第1号を出した。会社設立の79年に創刊した写真グラフ構成の「あおもり草子」(発行中)に続くタウン誌だ。
 編集スタッフは6人。人数が少ない分、雪国での催しへの参加や、知人の紹介を頼りに声掛けする地道なネットワークづくりに励んだという。
 現在、北海道や東北6県、北陸などに住む「ゆきのまち通信員」は延べ100人を超す。通信員からの情報や著名エッセイストらの連載と、酒、食、暖房、映画、歌など雪国ならではの多岐にわたるテーマを毎号特集してきた。
 発行部数8000の通信は、青森市内などの書店販売もあるが、ほとんどが郵送による定期購読者。契約更新は年々減っている。杉山さんが「大口広告主の撤退が決定的でした。ここ数年は完全に持ち出しの状態」と台所事情を明かした。
 税込み500円の価格やA5サイズ50ページの装丁も変えたくなかった。全員で話し合い、3月下旬に休刊を決めた。
 10年前から編集に携わる小笠原奈雅子さん(55)は、「直近の第174号で特集に選んだ『雪かき考』は温めていたテーマ。まだまだアイデアはあります」と言葉少なに語った。
 杉山さんは「当初は『絶対続かない』って言われた雑誌。休刊は寂しいが、雪から生まれた文化を雪国の青森から発信できたという手応えはある。営業を頑張り、何とか復刊させたい」と前を見据える。女子美術大の後輩にあたる小笠原さんも「(先輩の杉山さんと)思いは同じ」と話した。
 通信には、全国から1000編前後の応募がある「ゆきのまち幻想文学賞」の入賞作品も毎年掲載してきた。第175号には第28回幻想文学賞の主要受賞作が掲載されている。来年以降はネット媒体での作品発表を計画している。連絡先は017(773)3477。

◎ゆきのまち幻想文学賞に五十月さん

 「ゆきのまち通信」(青森市)が主宰する「第28回ゆきのまち幻想文学賞」の大賞に五十月彩さん(愛知県岩倉市)の「小さき者の小さき手のひら」が選ばれた。長編賞は東しいなさん(青森市)の「瞳に降る雪」に決まった。
 雪をテーマにした小説や物語が対象。47都道府県と海外から、一般部門に826編、長編部門に15編の応募があり、24作品が入賞・入選した。東北からは一般部門で木村千尋さん(弘前市)、枯木枕さん(宮城県七ケ浜町)が入選し、長編部門で下重正人さん(むつ市)が佳作に選ばれた。審査員は漫画家の萩尾望都さん、小説家の夢枕獏さん、エッセイストの乳井昌史さん。
 大賞は賞金30万円。長編賞は10万円。


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2018年05月16日水曜日


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