宮城のニュース

<大川小訴訟>発言変遷 揺れる村井知事 県トップの責任の重さは…

大川小津波訴訟の上告理由に関する県議の質問を聞く村井知事=9日午前、県議会

 東日本大震災の津波で児童・教職員計84人が犠牲となった石巻市大川小を巡る損害賠償請求訴訟で、村井嘉浩宮城県知事の発言が揺れている。市と県が敗訴した控訴審判決に疑問を呈した県議会答弁が徐々に後退。事前防災について「不備はない」と言い切った発言も修正した。県トップの説明が変遷する中、上告審の手続きが進められている。(大川小事故取材班)

 村井知事は9日、県議会全員協議会で上告の方針について説明し、先に上告を決めた学校設置者の石巻市に足並みをそろえる考えを示した。
 その上で「当時、震災は想定できなかった」と繰り返し強調。「何か起きた時、その時点の知見を超えた場合に全て校長、市教委が悪いというのは無理がある。今回はそういう裁判であり、行き過ぎだ」と批判した。
 高裁は東日本大震災を予見し、事前に備えるよう求めたわけではない。
 判決は「市教委、大川小校長らが予見すべき対象は東日本大震災ではなく、2004年に想定された『宮城県沖地震(マグニチュード8.0)』で生じる津波」と明示。高い確率で起きるとされた宮城県沖地震による津波に備える安全上の義務があったのに、避難場所を決めていなかったことなどを過失と認定した。
 判決の大前提を踏まえていないと受け止められかねない答弁。村井知事は14日の定例記者会見で「誤解を招く内容だった」と釈明した。
 控訴審の最大の争点となった事前防災について、県議会で「不備は認められません」と明言したが、会見で「宮城県沖地震に十分対応していたと考えているが、現時点で判断しかねる、というのが正直な気持ちだ」とトーンダウンした。
 会見では「児童と教職員の命は救えた命か」と問われた。村井知事は「私は判断できない。上告審の判断が出る前に申し上げるのは控えたい」。被災地として発信すべき学校防災の在り方についても「上告審の判断が出てから改めて申し上げたい」と明言を避けた。
 県議会旧民進系会派「みやぎ県民の声」の遊佐美由紀県議は「県民の命と財産を守る県トップとして責任の重さが見えない」と指摘する。引き続き、知事の姿勢を巡る議論が続きそうだ。


2018年05月17日木曜日


先頭に戻る