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<文化審答申>旧大沼家住宅(宮城・村田)重文に、「蔵の町」喜多方・小田付地区を保存地区に

紅花の商いでにぎわった歴史を今に伝える旧大沼家住宅
近世の地割りに店蔵など多様な蔵が並ぶ。敷地内には、近くの川から水を引いて生活用水にする中堀が今も流れている

 文化審議会は18日、日本の女優の草分けとされる川上貞奴(1871〜1946年)が過ごした旧川上家別邸(岐阜県各務原市)や旧大沼家住宅店(たな)など10棟(宮城県村田町)、高座神社本殿(兵庫県丹波市)など9件を重要文化財に指定するよう林芳正文部科学相に答申した。また重要伝統的建造物群保存地区に、「蔵の町」として知られる喜多方市の小田付地区を選定することも求めた。

 近く答申通り指定・選定され、建造物の重要文化財は2489件(うち国宝225件)、保存地区は118地区となる。
 旧川上家別邸は1933年に建てられ、貞奴が近くの寺に参拝する際に滞在した。数寄屋や中国風など趣向の異なる意匠を各部屋で使い分け、華やかな空間を演出している。
 高座神社本殿は1705年建立。彫刻の一部のみ彩色する丹波地方特有の装飾が特徴で、細部の意匠にも技巧を凝らしている。
 このほか、旧日興証券創業者の遠山元一氏(故人)の邸宅、旧遠山家住宅(埼玉県川島町)なども指定する。

◎文化審の答申内容

 文化審議会の答申内容は次の通り。かっこ内は所在地。

 【重要文化財の新指定】旧大沼家住宅店など10棟(宮城県村田町)▽臨江閣(りんこうかく)本館など3棟(前橋市)▽旧遠山家住宅東棟など9棟(埼玉県川島町)▽旧平沢家住宅=松籟閣(しょうらいかく、新潟県長岡市)▽松栄家(まつばえけ)住宅主屋など3棟(新潟県佐渡市)▽旧川上家別邸主屋など3棟(岐阜県各務原市)▽中村家住宅主屋など4棟(滋賀県長浜市)▽高座神社本殿(兵庫県丹波市)▽阿弥陀寺本堂=旧紀伊藩台徳院霊屋(たいとくいんたまや、和歌山市)
 【重要文化財の追加指定】旧碓氷峠鉄道施設第7橋梁(きょうりょう)など(群馬県安中市)
 【重要伝統的建造物群保存地区の新規選定】喜多方市小田付地区(喜多方市)
 【重要伝統的建造物群保存地区の追加選定】富田林市富田林地区(大阪府富田林市)

◎重厚豪壮、町並みの象徴/宮城・村田旧大沼家住宅

 江戸時代後期以降、紅花交易やみそ、しょうゆの醸造販売で栄えた大沼家の店舗と住宅。県内唯一の重要伝統的建造物群保存地区にあり、店蔵(たなぐら)や本宅、内蔵(うちぐら)などで構成される。
 1874(明治7)年建築で重厚な意匠の店蔵と、99年に建てられた豪壮な構えの門が表通りに面して並び、「蔵の町並み」の象徴的存在となっている。敷地奥に土蔵群が連なり、蔵の向かい側に前座敷がある配置は、地区内の最上層商家の特徴だ。
 店舗と住宅は現在、大沼家の屋号にちなみ「村田商人やましょう記念館」として一般公開されている。

◎近世の町割り引き継ぐ/喜多方・小田付地区

 喜多方市中心部の小田付地区は1582(天正10)年、町割りが行われた。市が開かれ、みそ、しょうゆ、酒の醸造も盛んになり、にぎわった。町割りはほぼ当時のまま今に引き継がれた。
 南北約900メートルの通りには店蔵、座敷蔵など多様な蔵が並ぶ。屋根は平入り、妻入りが混在。自由で個性あふれる当時の雰囲気を象徴するようだ。指定面積約15.5ヘクタール内の建物182件が保存すべき特定物件となる。最古の蔵は江戸末期とみられる。
 「先祖が造った蔵を次世代に残したい」。壊される蔵が増え、伊関聡さん(66)ら住民が「会津北方小田付郷町衆会」を発足したのは15年前。イベントなどを通じ、保存とまちづくりに対する市民の理解を広げてきた。
 2013年、保存地区を目指した調査を市に要望。今回の指定につながった。町衆会2代目会長の伊関さんは「まちづくりの新たなスタートだ」と喜ぶ。


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2018年05月19日土曜日


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