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<311次世代塾>弔いの現場 訪ね歩く 仮埋葬地や安置所視察

宮城県東松島市野蒜地区の慰霊碑の前で佐々木課長(右)らの説明を聞く受講生

 東日本大震災の伝承と防災啓発の担い手育成を目指し、河北新報社などが運営する通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」第2期の第2回講座が19日あった。大学生ら受講生約100人は仙台、東松島両市、宮城県利府町を訪れ、震災直後、多数の犠牲者と向き合った現場の混乱と悲しみの証言に耳を傾けた。
 東松島市では土葬による仮埋葬が行われた大塩地区の跡地や旧JR野蒜駅周辺などを訪れた。同市の佐々木寿晴防災課長は「記録と記憶は伝えていかなくてはならない」と力を込めた。
 利府町では、当時、遺体安置所の一つだった県総合運動公園(グランディ21)の総合体育館を訪問。安置に携わった葬祭業「清月記」(仙台市)の西村恒吉業務部長(45)は「床一面にひつぎが並び、手厚く弔えない状況が衝撃的だった」と振り返り、「大規模災害では多数の遺体が発生するのが現実。現実を直視する覚悟が必要だ」と強調した。
 受講生らは、仙台市が震災遺構として公開する旧荒浜小と、深沼海水浴場(いずれも若林区荒浜)も視察。校舎2階まで押し寄せた津波の脅威を学び、慰霊碑では犠牲者の冥福を祈った。
 津波で泥やがれきが押し寄せた専能寺(仙台市宮城野区蒲生)では、足利一之(もとゆき)住職(51)が「昼夜を問わず葬儀場を駆け回り遺族と泣きながら犠牲者を送った」と証言。「震災が人ごとではなく、自分の身近なことだという意識を持つことが大切だ」と呼び掛けた。
 視察後、東北大4年の三浦規義さん(22)は「人の死の話題はなんとなく避けてきたが、今後の災害を考え、正面から議論するべき時ではないか」と話した。
 次世代塾は河北新報社、東北福祉大、仙台市の3者を核とした「311次世代塾推進協議会」が昨年4月に開講。第2期の本年度は年15回の講座のうち、3回程度被災地を視察する。


2018年05月20日日曜日


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