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<週刊せんだい>書店事情2018(3)無店舗化/古書ネットが主戦場に

古書市場で出品物を確認する古書店主ら。ネット専門の店も多い=4月下旬、宮城県大和町内
自宅を改装して設けた書庫に昭和の漫画雑誌などをそろえ、「獅子王堂」の店名でネット販売する高橋さん=仙台市宮城野区

 「近くに品ぞろえの異なる複数の店舗があったから回遊して本を探すことができ、宮城県外から来る客もいた。1店では誘引力が弱い」。仙台市青葉区一番町1丁目の古書店「昭文堂書店」の店主斎藤鄭(あつし)さん(72)は嘆く。

<1店残るのみ>
 東北大片平キャンパスにほど近いこのエリアは、かつて「古書店街」と呼ばれた。周辺まで含めると7、8店を歩いて回れたが、90年代以降、ぽつりぽつりと店が減り、昨年9月には明治から続いた老舗が閉店。とうとう昭文堂書店1店が残るだけになった。
 斎藤さんによると、1990年ごろ約150店あった宮城県内の古書店は現在、30店ほど。昭文堂書店の売り上げも、バブル期の3分の1に落ち込んだ。
 本離れや比較的新しい本を売る大型の「新古書店」の台頭、インターネット通販の普及…。一般の書店と同様、街の古書店も苦しい状況にある。経営スタイルも、ここ10年ほどで大きく変わった。
 宮城県古書籍商組合理事長の高橋三雄さん(49)=宮城野区=によると、加盟22店のうち実店舗での営業を軸に据えるのはわずか6、7店。インターネット販売中心の店が増えているという。古書店主らが在庫を競りの形で交換し合う組合主催の古書市場にも、ネット専門の店が多く参加する。

<一点物で勝負>
 高橋さんが営む「獅子王堂」も、2007年の開業当初からネット販売専門で実店舗はない。全国古書籍商組合連合会のウェブサイト「日本の古本屋」や大手ネット書店、オークションサイトで昭和の懐かしい漫画雑誌などを販売し、全国各地や海外から注文が寄せられる。
 「資本力がない個人は品ぞろえで大型店に勝てない。なかなか手に入らない一点物に特化して独自性を出すことが大事。地域密着というよりは全国を相手に商売するしかない」と話す。

<スマホで簡単>
 青葉区の男性(68)は30年ほど営んだ店を14年に閉じ、ネット販売のみに転じた。「店の維持費を稼ぐのは大変。スマートフォンがあればどこでも古本屋ができる」。ネット専門の若手業者(仙台市)は「いい本を仕入れてネットに載せれば、誰かが見つけてくれる」と語る。店舗での売り上げが落ちた分を、ネットで補うケースもある。
 「お客さんと本のいろいろな話をするのが古本屋の面白さ。店自体が生きた『買い入れ広告』にもなる。ネットだけになったらもったいない」と斎藤さんは言う。ただ、地方の古書店が「形を変えてしぶとく生き残っている」(高橋さん)のはネットの恩恵なのだ。


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2018年05月24日木曜日


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