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<日大アメフット問題>選手の覚悟、認識を 部の体質環境原因

 日本大の選手による悪質タックル問題は、3月まで東北大のアメフット部員だった身としても怒りと悔しさを覚える。内田正人前監督らは23日夜、意図的な反則の指示を否定した。選手生命と引き換えに謝罪・説明会見に踏み切った宮川泰介選手(20)の勇気と覚悟を、指導者や大学は真摯(しんし)に受け止めるべきだ。(報道部・坂本光)

 昨年12月、東京都内であった全日本大学選手権の東日本代表決定戦で日大と対戦した。当時2年で同じ守備選手(DL)の宮川選手は運動能力に優れ、将来の日大を背負う存在との印象を持った。日大チーム全体もプレーの厳しさは感じたが、相手を負傷させる意図のプレーなどはなかった。
 「準備のスポーツ」と言われるほど試合前の戦略が勝敗を左右するアメフットで、選手は基本的に作戦通りに動く。作戦を決める監督やコーチには大きな権限がある。とりわけ昨年、日大を27年ぶりの学生王者に導いた内田前監督の力は強大だったと推察される。そうでなければ将来有望だった宮川選手に対し、学生日本代表を辞退させたり、練習から排除するなど「干す」ことはできなかったはずだ。
 宮川選手は22日の会見で監督やコーチの指示を拒めなかった理由を「自分の意志の弱さ」と説明した。20歳になったばかりの学生に「意見を言えるような関係ではない」(宮川選手)監督の指示をはねつけるほどの意志の強さを求められるだろうか。「逆らえなかった」と言えない宮川選手を気の毒に思った。
 反則でしかないタックルに正当化の余地はないが、選手をそこまで追い詰めた点に問題の本質がある。「大学に入り(アメフットが)好きではなくなった」と明かした宮川選手。好きだから厳しい練習も乗り越えられ、勝利の喜びを渇望する。そんな原点の気持ちすら失わせたのなら、大学での部の体質や環境が原因としか言いようがない。
 今回の問題で、アメフットの危険な側面だけが強調されているのが残念でならない。本来は屈強な選手らがルールに従い、正々堂々と戦う面白さがあることも理解してほしい。


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2018年05月24日木曜日


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