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山形遊郭が題材 推理小説を出版 料理店経営・渡辺さん「街を語り継ぐ一助に」

著書を手に「埋もれた歴史を探る楽しさを味わってほしい」と語る渡辺さん
解体される旧山形治療院の建物

 かつて東北屈指といわれた「山形遊郭」をしのぶきっかけにしようと、山形市の料理店経営渡辺大輔さん(37)が遊郭のあった小姓町(こしょうまち)を題材にした小説を出版した。「駆梅院(くばいいん)」と呼ばれ、娼妓(しょうぎ)の性病を検査した山形県立山形治療院だった築100年超の建物も近く解体され、往時の名残は薄れゆく。渡辺さんは「街を語り継ぐ一助になればうれしい」と話す。
 「この街は彼が燃やした 小姓町遊郭の焼失」(阿古耶書房)と題した小説は、現代の若者が明治時代に起きた火災の謎に挑むストーリーだ。
 テーマは「山形市南大火」。遊郭ができて10年がたつ1894(明治27)年5月26日に発生し、遊郭も全焼した。同じ職場だった20、30代の男女3人が2012年、遠い昔の事件解明に知恵を絞る。
 遊郭になじみのない世代も興味が持てるよう推理小説の形にし、構想を含めて1年がかりで書き上げた。
 山形市出身の渡辺さんは11年に小姓町で開業。同業の先輩らの話を聞くうち、遊郭や歓楽街で時代ごとに栄華を誇った地区への関心が高まり、明治以後の歴史を調べ始めた。
 昨年5月には、昭和の高度経済成長期に東北随一と呼ばれた同町のキャバレー「ソシュウ」と関わった人々の証言をつづる「キャバレーに花束を」を発表している。
 駆梅院と呼ばれた建物は、明治末期ごろに建設された洋風の2階建て。後に県立千歳病院となり、売春防止法が完全施行された1958年ごろには、遊郭とともに閉鎖されていたという。県生活衛生会館として今年3月まで使われたが、老朽化が進んだため取り壊しが決まった。
 渡辺さんは「遊郭のシンボル的存在の旧駆梅院がいよいよ姿を消す。街の変貌は世の常だが、にぎわいも悲しみも包み込んできた文化を伝承したい」と語る。
 B6判、182ページ。1380円(税別)。連絡先は傑作屋090(7664)2907。


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2018年05月26日土曜日


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