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<災害救助法改正案>災害時の権限委譲めぐり宮城県と仙台市で平行線

 国会で審議中の災害救助法改正案を巡り、仙台市と宮城県の見解が平行線をたどっている。災害時の仮設住宅整備などの権限が都道府県から政令市に移譲可能となり、東日本大震災の経験を基に法改正を求めてきた市は迅速な対応につながると期待。片や県は全域の公平性を重視する立場を崩さず、知事の同意を前提とする権限移譲の先行きは見通せない。

◎仙台市「迅速な対応可能に」/宮城県「全域の公平性重視」

 「必ずしも市だけが先に行くというわけではない。県が行っていた事務処理について、市が主体となれれば県は他の市町村の対応に当たることができる」
 郡和子市長は22日の定例記者会見で、改正法案を評価。法成立後に知事と協議する意向を示した。
 震災当時、市は仮設住宅の建設用地を確保していたが、全県一律の対応を譲らなかった県から事務委任されなかったため「建設が遅れた」と主張。指定都市市長会をリードする形で法律の見直しを訴えてきた。
 これに対し、村井嘉浩知事は「仙台市だけ建設が早く進み、それ以外の自治体は遅れてしまう」と改正法案の問題点を指摘。「被災者を平等に扱うとの視点を外すべきではない」と持論を展開し、全国知事会が反対声明を出していることを挙げ「合意できる自治体があるとは思えない」と冷ややかだ。
 被災した県内の沿岸部の首長からは「災害対応で力がある都市に後れを取れば人口流出の傾向が加速しかねない」(菊地啓夫岩沼市長)と懸念の声が漏れる半面「当事者として考えたことがない」(菅原茂気仙沼市長)などと推移を見守る立場の自治体も多い。
 権限移譲を巡る議論は2011年の震災を機に活発化した。仙台市の主張をきっかけに指定都市市長会は12年7月、法律の見直しを国に要望。15年1月の「法改正の必要はない」との閣議決定で、いったんは決着を見た。
 16年4月に起きた熊本地震で議論は再燃。内閣府の実務検討会は17年12月に最終報告をまとめ、国主導による法改正の流れが固まった。政令市が住宅資材といった物資を先取りしないよう、他市町村との配分を調整する役割を都道府県が担うことも法案に明記した。
 法成立後は、国による指定の具体的な基準が焦点になる。来年4月施行を目指す内閣府の担当者は「国が都道府県の意見を聞く際には合理的な理由があるのかを見極め、指定するかどうか判断する」と述べた。

[災害救助法改正案]都道府県が担っている避難所設置や仮設住宅整備、医療処置、遺体の埋葬など10項目の救助権限について、知事の同意を得た政令市を首相があらかじめ指定した上で移譲する。事前準備を可能にし、災害発生時の迅速な救助が図られるようにする。


2018年05月27日日曜日


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