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<まちかどエッセー・鈴木英子>漢字は悪魔の文字?

[すずき・えいこさん]公益財団法人宮城県国際化協会日本語講座スーパーバイザー、東北中国帰国者支援・交流センター日本語講師。著書に『漢字授業の作り方』『どんどんつながる漢字練習帳初級・中級』『使って覚える楽しい漢字1・2』などがある。平成26年度「白川静漢字教育賞最優秀賞」受賞。1954年東広島市生まれ。活力の源は大好きなスポーツ。仙台市太白区在住。

 日本に初めて布教に来たキリスト教の宣教師たちは、「漢字は布教を妨害するために悪魔が作った文字だ」という印象を抱いたそうです。
 非漢字圏の人たちに、初めて漢字を見た時の印象を尋ねても、「どこから書き始めればいいのか分からない」「意味のあるのが信じられない」「学習することは不可能だ」などという、ネガティブなものが多く聞こえてきました。
 どうしたら漢字を楽しく効果的に教えることができるのか、長年模索し続けている時、私は白川静博士の字源字典『字統』に出合いました。
 一見何の関連性もなさそうな漢字が、実は共通の意味でつながっていること、複雑そうな漢字でも、分解することで意味が分かりやすくなるものがたくさんあることなどを知り、初めて漢字の面白さを味わうことができました。
 例えば「欠」は口を開けた人の姿。そこから「飲・歌・次・吹」などがつながり、飲んだり、歌ったり、次々と息を吐いたり、吹いたりしている人の形が見えてきます。
 日本語学習者にもこうした漢字の面白さを伝えることができたら、もっと楽しく学べるのではないかと、仲間と共に試行錯誤を続けた結果、生まれたのが『どんどんつながる漢字練習帳』でした。
 漢字の成り立ちをイラストで表し、翻訳で意味の説明を付けたこの教科書は、使った人たちから「とても面白い」「漢字の意味が楽しく理解できるので覚えやすい」などの感想を多く頂くようになり、著者としても大きな喜びとなりました。
 初めて漢字クラスを担当した頃は、1週間に1回の授業を、台所に立っていても、夜、布団に入ってからもずっと考え続け、授業前日に「明日は漢字の授業だ」と思うだけで、気が重くなっていました。あの時、やめないで本当によかった。こつこつ続けることの大切さを、今、身をもって感じています。
(公益財団法人宮城県国際化協会日本語講座スーパーバイザー)


2018年05月28日月曜日


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