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<ニュース深掘り>山形公立中高入試採点ミス 多角的な思考力、県教委こそ試されている

記者会見で採点ミスが計1194件に上ったことを明らかにし、謝罪する広瀬教育長(中央)ら=17日、山形県庁

 今年の山形県公立高入試で受験生1人が誤って不合格とされたことに端を発した問題は、県教委の調査の結果、2016〜18年度公立中高入試(定時制高は15〜18年度)で計約1200件のミスが見つかり、公教育の信頼を損なう異常事態となった。県教委は長く採点実務の見直しを怠り、採点者3人によるチェックを過信してきた。教育行政の不作為のツケが受験生に回るような理不尽を二度と繰り返してはならない。
 「(採点者3人が○×などを)解答欄にそれぞれチェックしていて、何が何だか分からなくなる」
 県教委が15〜17年度分の調査結果を公表した17日、広瀬渉教育長は採点者が解答欄に直接、○×や配点などを記入する解答用紙の様式が、ミス多発の一因となったことを認めた。採点後の用紙が読みにくくなる上、最初の採点者が記した○×を漫然と追認しやすくなる弊害があったという。
 山形県の場合、「生徒の思考力を多角的に見る必要がある」(県教委)として、記述式問題が全体の8割を占める。受験生が書いた文章や語句の上に、最初の採点者による○×や配点、2番目以降の採点者が確認したことを示す下線などが記されれば、「何が何だか分からなくなる」のも当然だろう。
 大問の配点は県教委が統一しているが、小問ごとの採点基準や配点が各校の裁量に委ねられている点も、採点現場の混乱を招いている。
 直前に入試問題を受け取る学校側は、各小問の配点をはじめ、記述式解答で求められる要素の不足や漢字の間違いの減点幅といった基準を短時間で決めなくてはならない。このため採点者に徹底されず、多くの得点計算ミスにつながった。
 山形県と同様に採点者3人による「3回チェック」を実施している宮城県は数年前、解答欄とは別に正誤の○×を記載する欄と配点欄を設ける様式に変更。採点後も読みやすい状態に保つ一方、前の採点者が記した○×は正答表で隠すルールを徹底し、3回チェックが機能するよう工夫している。
 山形県の解答用紙の様式や採点者の○×などの記入方法は少なくとも十数年続いていた。宮城など他の都道府県の事例を参考に見直しを図った形跡はない。
 採点ミスがあった学校の数は、県教委の調査対象となった分だけでも全体の9割を超える47校。ほとんどの学校で同様のミスが長年にわたり見過ごされてきた可能性は否定できない。
 受験生1人が採点ミスにより不合格となった問題が発覚した3月29日以降、県には一般の受験生や保護者からとみられる解答用紙の開示請求や関連の問い合わせが計約30件寄せられている。「合否に影響はなかった」とする県教委の説明が、必ずしも信用されていない証拠だ。
 広瀬教育長は今月17日の会見で「二度と起こさないことが、信頼回復の上で最も重要」と明言した。
 生徒の思考力を多角的に確かめるための良問づくりと採点ミスの原因排除は、知恵と工夫で両立できるはずだ。今、多角的な思考力が試されているのは県教委にほかならない。
(山形総局・吉川ルノ)

[山形県公立中高入試の採点ミス]全日制46高、県立中1校の過去3年分と定時制5高の過去4年分の入試答案を県教委が調査。計1194件(1135人分)の採点ミスが判明した。問題の発端は、今年3月の公立高入試を受験した生徒の保護者が答案を開示請求し、採点ミスで不合格とされていたことが分かり、追加合格となったことだった。県教委は答案にミスがあった他の1134人の合否に影響はなかったと説明している。


関連ページ: 山形 社会

2018年05月28日月曜日


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