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石巻の漁業者が設けた奨学金 1期生のインドネシア実習生が来日 人材難解消、国際貢献も

石巻魚市場にサバを水揚げするインドネシアの実習生=石巻市魚町
石巻魚市場にイワシを水揚げするインドネシアの実習生=24日午前8時50分ごろ、石巻市魚町

 宮城県石巻市の漁業者が、インドネシアの漁業者の子弟向けに水産高校への進学を支援する奨学金制度を設け、第1期の卒業生16人を4月、実習生として受け入れた。外国人漁業実習生への奨学金支給は全国的に珍しい。石巻地域で深刻化する漁業の労働力不足解消と、インドネシアの水産業振興につなげる狙いがある。

 奨学金制度は石巻市の24漁業者でつくるNPO法人石巻漁業実習協議会が2014年に創設した。支援額は3年間で1人18万円。制服代や教科書代、実習費など進学にかかるほぼ全額を賄えるという。
 これまで80人の進学を支援し、昨年6月に第1期生18人が卒業。このうち16人が今年4月に石巻市に入り、実習生として3年間、定置網や底引き網などの漁業者の下で指導を受ける。
 石巻地域の漁業者は東日本大震災後、人手不足に拍車が掛かっており、外国人実習生の労働力に寄せる期待は大きい。
 制度創設のきっかけは、石巻市が07年にインドネシア西ジャワ州と結んだ協定。労働力不足に悩む地元漁業者の要請を受け、市が西ジャワ州の水産高校の卒業生を実習生として受け入れる内容で、今年4月までに210人が来日した。
 一方、同国では漁業従事者への評価が低く、帰国後に国内で漁業に従事した実習生は約1割。大半が外国漁船に流れていた。
 地元定着が見込める漁業者の子弟の多くは経済的事情で水産高校に通えず、実習生の枠に入れない現状を憂慮し、石巻の漁業者は今回、水産高校に進学する漁業者の子弟を増やし、同国の漁業振興につなげようと奨学金制度を作った。
 4月に来日した実習生の一人、アルル・ヒダヤトさん(19)の実家は漁業を営む。「忙しくて大変だけど、勉強になる。帰国したら地元で漁業をしたい」と決意を語る。
 ヒダヤトさんら実習生は24日、受け入れ先で石巻市鮎川浜に事業所がある山根漁業部(宮古市)の定置網船6隻で漁をし、石巻魚市場に入港。金華山や網地島周辺の漁場で取れたサバやイワシを水揚げした。
 同社第3龍丸の石浜隆三船長(34)は「言葉の壁はあるが、技術は徐々に覚えてくれる。定置網はインドネシアでもできる。頑張ってほしい」と激励する。


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2018年05月29日火曜日


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