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<秋田県警>過疎地域住民どう守る 警察署の統廃合も含め模索

心理テストなどを通じて詐欺対策について講話する北秋田署員ら=18日、大館市早口大野集落

 秋田県警が、過疎地域の治安維持の在り方を警察署の統廃合を含めて模索している。地域コミュニティー支援の拡大に期待の声が挙がる一方、昨年は由利本荘市沿岸に北朝鮮籍の船の乗組員が上陸したことなどもあり、沿岸部の署の統廃合に対して地元には不安が広がる。(秋田総局・鈴木俊平、佐藤駿伍)

 大館市早口大野集落の公民館で18日、北秋田、大館両署員計4人が高齢者約15人に呼び掛けた。「高齢者の死亡事故が増えている」「クマの目撃情報があれば入山を控えて」
 今月から県内各署で取り組む地域支援の一環。民生委員らと集落にある約30世帯の戸別訪問も行い、詐欺や交通事故の防止に向けた啓発活動を展開した。
 地域支援は2016年8月、北秋田市と上小阿仁村を管轄する北秋田署で始まった。今年4月までに講話や戸別訪問を計約170回実施。地域イベントや茶会に合わせて開くなど、住民からも好評という。
 そのノウハウを広げようと、同じ県北地域の大館、鹿角、能代3署エリアでも、北秋田署と連携するブロック運用を試験的に実施していくことにしている。
 県警幹部は「少子高齢化が進み、過疎地域の治安を守るために関係機関と連携した取り組みのニーズは高いはず」との考えを示す。
 秋田県は3人に1人が65歳以上で、地域の見守り機能の低下が懸念される。県警は有識者からの提言を基に、人員配置などを柱に据えた対策に動きだした。
 19年春には、刑法犯認知、交通事故、相談件数などが県内最少のにかほ署を由利本荘署へ統合する方針。にかほ署は幹部交番となり、人員は現在の44人から20人ほどに半減させる。
 小規模な同署は夜勤の当直体制が弱く、交番・駐在所員が本署の支援のため持ち場を離れることも多い。特殊詐欺やサイバー犯罪など広域・多様化する事案への対応強化が望まれていた。
 統合後、由利本荘署は現在の3割増の約130人に拡張される。幹部交番では複数の担当課を兼務し、従来の機能を維持。県警本部と連携したパトロールで初動対応を強化し、有事には由利本荘署員を派遣するなど応援態勢の充実を図るという。
 一方、署の統廃合計画を今年冬に報道で初めて知ったにかほ市は2月、県や県警本部を訪ね、にかほ署の存続を訴えた。同市の佐々木俊孝総務課長は「治安面の不安は、市の観光振興や企業誘致にも悪影響が出てしまう」と強い懸念を示す。
 昨年11月には北隣の由利本荘市沿岸に漂着した北朝鮮の漁船の乗組員8人が上陸し、由利本荘署で保護された後に送還された。にかほ、由利本荘両市は翌12月、県警と秋田海上保安部に対し、自治体との情報共有の強化などを求める要望書を提出した。
 木造船や乗組員と見られる遺体の漂着が相次いだ地元の住民たちは「気軽に散歩できない」「人員削減が機能縮小につながるのでは」と不安を募らせる。
 県警はにかほ市内12の自治会で住民説明会を開く方向で調整を進めている。
 警務課の悴田(かせだ)覚次長は「幹部交番でも今までと変わりない役割を維持できる。由利本荘署の大規模化で継続的に事件捜査を担える利点などもあり、地道に説明を重ねる」と語る。


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2018年05月30日水曜日


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