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東南海7県の沿岸小学校 津波対応規定9割に増加 具体化には温度差

 南海トラフ巨大地震の発生が懸念されている東南海地域7県沿岸の小学校で、防災マニュアルに津波対応を盛り込む学校が東日本大震災前の3割弱から9割近くに増えたことが、河北新報社が日本学校保健学会会員の学校防災研究メンバーと共同で実施したアンケートで分かった。震災を踏まえ、事前防災への意識が高まる一方、児童の保護者への引き渡しルールや、避難住民の対応といった具体的な課題への取り組みは各校で温度差が見られた。(大川小事故取材班)
 マニュアルに津波対応を規定する学校は87.0%に上った。内訳は「震災前から」28.3%、「震災後」58.7%。体育館や校舎上層階、近隣の高台といった児童の津波避難場所は、60.9%が保護者に加えて地域住民とも共有していた。
 市町村が作成する津波ハザードマップの浸水予想区域の決め方について、「説明できる程度に分かる」は28.3%にとどまり、「なんとなく分かる」が52.0%、「よく分かっていない」が19.0%だった。
 一方、学区内にハザードマップの浸水予想区域がある学校は81.0%。これらの学校に、浸水域から通う児童への対応について何らかの取り決めをしているか聞いたところ、「していない」が23.9%に上った。
 児童の保護者への「引き渡し」を職員会議で話し合ったことがある学校のうち、90.5%は保護者と内容を共有する。ただ、具体的な方法は「津波注意報・警報の発令中は引き渡さない」30.6%、「事前登録者と確認できれば引き渡す」49.3%、「登録者以外でも関係が確認できれば状況によって引き渡す」11.9%と分かれた。
 校長ら管理職が不在時、津波襲来の恐れが生じた場合の対応を「話し合ったことがない」は59.9%と半数を上回った。
 84.4%の学校が市町村の津波避難場所に指定されているが、避難住民の対応を地域と話し合ったことがある学校は49.3%にとどまった。住民対応は「臨機応変に対応するしかない」が42.7%、「児童対応を優先し住民対応は地域や行政などに任せる」が41.4%で判断が分かれた。
 教職員の津波に対する意識は76.2%が「継続している」と答えたが、意識の格差や低下を感じる学校も計17.1%あった。
 東日本大震災の津波で児童74人、教職員10人が犠牲となった石巻市大川小の事故について、75.8%が「大いに」、20.1%が「多少」教訓にしていると回答。自由記述では「最悪の状況を想定した判断が大切」(静岡)、「無駄になってもいいので高台避難を迅速に決定する」(愛知)などがあった。
 調査は東南海7県(神奈川、静岡、愛知、三重、和歌山、徳島、高知)の海岸線から4キロ以内に立地し、日本教育学会の学校防災グループが2013年に実施したアンケートに答えた小学校487校が対象。3月に調査票を郵送し、269校(55.2%)から回答があった。


2018年05月30日水曜日


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