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<にゃんとワンポイント・実践編>お尻歩きは異変の兆し

肛門嚢にたまった液体を搾り出す処置を施される柴犬。ペットのサインに注意し、炎症が軽いうちに対応したい

◎肛門嚢炎

 犬がお座りの姿勢のまま、お尻を床に引きずりながら前進する「お尻歩き」が続くなら病院へ。肛門嚢炎(のうえん)を疑います。
 肛門嚢は、臭気のある液体を分泌・貯留する組織です。肛門を中心に4時と8時方向の筋肉の間に挟まれて存在し、肛門の両脇に小さい排せつ孔があります。スカンクの臭いおならは、この液体を勢いよく飛ばすことを指します。
 犬猫ではスカンクほど強烈ではありませんが、排便時に少し出たり、興奮時に数十センチ飛ばしたりすることがあります。健康で若い犬猫は、透明で粘度の低い液体が分泌されますが、体調や加齢に伴い変化します。
 黄や緑、茶、黒など、色はさまざまで、粘度が高くなると自力で自然に排出できなくなります。分泌液がたまってくるとかゆみや違和感から、お尻歩きをしたり、しきりに肛門をなめたりするようになります。
 軽度の炎症なら人が排出を手伝うことで症状が治まりますが、炎症が進行すると病院での洗浄処置や投薬治療を要します。重症例では化膿した肛門嚢が腫れあがり、ついには皮膚が破けて排膿します。
 肛門嚢が破裂した後「お尻をけがしている」「お尻の毛がベタベタに固まっていてよく見えない」「お尻を触るのを嫌がる」などの理由で来院される方がいます。話を聞くと「最近よくなめていた」とか「お尻歩きをしていた」とか、ペットがサインを出していたと分かります。見逃さないよう気を付けましょう。
 さて、ご自宅でのケアです。尾を持ち上げると、肛門周囲一帯が後ろに突き出ます。空いた手の親指と人差し指を肛門の4時・8時方向に置きます。肛門嚢に液体がたまっていれば、やや硬い膨らみが感じられます。指を奥に押し込みながら、肛門へ向かって嚢を搾り、液体を出します。液体が飛び散らないよう、ティッシュなどをお尻にあてがって行います。
 粘度の高い分泌液が詰まっていると、軽い力で出すことはできません。力を入れてペットに痛みを与えたり、嚢を破裂させたりすることがないよう、くれぐれも無理しないでください。
 不安なときにはプロに任せましょう。また、手入れ後にも症状が続くなら、受診が必要です。
(獣医師 後藤千尋)


2018年06月01日金曜日


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