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<E番ノート・球譜>まるで打者版「グラゼニ」2年目田中、開き直って強者へ挑む

2日のヤクルト戦で由規から2点二塁打を放った東北楽天の田中=楽天生命パーク宮城

 東北楽天の2年目田中和基外野手が5月23日の1軍昇格後、打率3割5分1厘、4本塁打、9打点と両打ちの強打者として開眼し始めている。

<すり足打法習得>
 「タイミングと積極性」。歴代2位の657本塁打を誇った野村元監督は打撃の神髄をこう語った。田中の場合、間合いを取るという意味では2軍ですり足打法を習得し、ぶれない力強いスイングを手にした。
 だが、急成長には別の理由もある。自らを「投手は抑えて当然だと思う2軍の選手」とし、対戦相手を「1軍の方々」と呼ぶ。失敗を恐れず、謙虚に強者に挑む意識が根底にある。
 今季年俸は1軍最低保障の1500万円を下回る1300万円。「年俸が下の相手はそういない。高額の方々の胸を借りるだけ」。その言葉に、年俸にまつわるプロ野球界のよくある話を描いた漫画「グラゼニ」を思い出した。
 主人公の凡田は年俸1800万円の左腕投手。年俸が下の打者は「上から目線」で抑えるが、額が上の打者が相手だと途端に相性が悪くなる。だが5000万円や1億円以上の別格クラスには開き直っていい勝負ができる、という話がある。
 1300万円の田中が見事に当てはまる。720〜1200万円の2軍レベルだと、ソフトバンクの椎野(800万円)ら3投手に4打数2安打の打率5割、1本塁打2打点。そして1軍レギュラーら少し目上の5000万円までのクラスには、2日のヤクルト戦で由規(仙台育英高出、1800万円)から2点打を放った程度で、9投手に16打数2安打の1割2分5厘、1本塁打3打点と苦しむ。

<一流どころに牙>
 それが一流どころには牙をむく。5000万円以上の12投手に21打数9安打の4割2分9厘、2本塁打4打点を誇る。5月26日に今季初本塁打したソフトバンクのバンデンハーク(4億円)、4号ソロを放ったヤクルトの秋吉(8500万円)のほか、オリックスの西(1億2000万円)らから安打を重ねている。
 理由は「いい投手は制球を間違わない。狙い球を絞り、最初のストライクから強振できる」。実際に0ストライクは6打数5安打の8割3分3厘、2本塁打4打点と驚異的だ。
 東北楽天で「田中」といえば、2013年の日本一に貢献した将大投手(現ヤンキース)。甲子園のスターだった右腕は、高卒新人の2007年4月18日のソフトバンク戦で元三冠王松中に「見下すような気持ちで」と雄たけびを上げる熱投でプロ初勝利した。
 対して和基は進学校の福岡・西南学院高から立大を経てきた秀才肌。「取材してもらえるのも1軍にいるから」と常に低姿勢な人柄で、闘志を内に秘めるタイプだ。「将来、トリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)達成を」と梨田監督が願う有望株は、偉大なるもう一人の「田中」へと成長が期待される。(金額は推定)(金野正之)


2018年06月05日火曜日


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