福島のニュース

<福島・飯舘村>募集停止の相馬農高飯舘校 村立高化、拙速で頓挫 開校ありきの計画に甘さ

1981年完成の相馬農高飯舘校の校舎。村立化構想では新築する計画だった=福島県飯舘村

 東京電力福島第1原発事故後の定員割れを受け、生徒募集を停止した福島県立の相馬農高飯舘校について、地元の飯舘村は村立化による存続案を白紙撤回し、今後の対応を県に委ねた。検討開始からおよそ半年。少子化で高校運営の在り方が問われる中、注目された手法はなぜ、急速にしぼんだのか。(福島総局・高田奈実)

<村議会から異論>
 「住民の合意を得られないと判断した。高校が再開できなくとも、若い人が来てくれるような村づくりに取り組む」
 5月7日の村議会全員協議会終了後、菅野典雄村長は厳しい表情で幕切れを宣言した。
 村立化は昨年秋以降、県から選択肢の一つとして示される形で浮上した。村は有識者らによる「再生を考える会」を設置。県などが設けた飯舘校の在り方に関する協議会とは別に検討してきた。
 村が今年4月26日の村議会全員協議会で具体的な方針を示すと「教育内容が決まっていない。現段階での予算化は無理がある」などの異論が続出。今回の撤回決定に至った。
 「残念だが、撤回は妥当だった」。菅野新一村議会議長が語るように、計画は生煮え感が拭えなかった。
 村は「食と農」を専門的に学ぶ特色あるカリキュラムを編成し、全国から生徒を集め村の復興を担う人材の育成を目指した。だが具体的な教員配置や実習内容は不明確な部分が多く、議会からは「食と農で全国から生徒が集まるのか」などの声が出た。

<復興予算当てに>
 財政面の見通しも甘かった。年間運営費1億5000万円の半額を国、県の補助金などで賄う計画を立てたが、県から補助制度創設の確約は得ていない。
 7000万円に収まると試算した村の持ち出し分では、インターネットで資金を募るクラウドファンディングの活用案などに、議会は「安定した財源確保には不向きだ」と指摘した。
 菅野議長は「時間をかけて検討すれば結果は変わっていたかもしれない」と言うが、村は2021年4月の開校ありきで計画策定を急いだように見える。
 新校舎の建設費約16億円は国の復興予算を充てる算段だった。国の復興・創生期間が終わる20年度内の完成と予算獲得を目指し、焦った可能性がある。

<話し合い不十分>
 原発事故の被災地では昨年春、双葉、富岡など県立高5校が募集停止を経て休校となった。飯舘校も20年春に休校となる見通しだ。
 県立からの高校移管を巡っては、青森県五戸町も3月、町立化などによる五戸高の存続を費用などの問題から断念している。
 飯舘校の村立化に関しては、住民を交えた十分な話し合いを経たかどうかなど熟度に疑問も残る。
 地元在住の同窓会長伊東利さん(70)は「村立による存続に期待はしたが、全国から生徒を集める運営方法など不安に思うところはあった」と打ち明ける。
 村の決定を受け、県と国、村による協議会は5月30日で解散。今後の対応は県に任された。

[相馬農高飯舘校]1949年、福島県飯舘村唯一の高校である相馬農高大館分校として開校。飯舘分校を経て2008年に現在の名称になった。普通科のみで生活福祉、自然科学の2コースがある。東京電力福島第1原発事故後、福島市の仮校舎で授業を継続。定員割れや村内出身生徒の減少などを受け、県は17年10月、18年以降の生徒募集停止を決めた。


関連ページ: 福島 政治・行政

2018年06月05日火曜日


先頭に戻る