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<復興実感度>低い気仙沼・陸前高田 喪失感回復になお時間

岩手、宮城県境をつなぐ三陸道の建設が急ピッチで進む工事現場。復興を実感できる生活基盤の整備は遅れている=陸前高田市

 東日本大震災から7年が経過したにもかかわらず、岩手県南部と宮城県北部の沿岸は、復旧復興に対する住民の実感度が半数以下にとどまる。県境を挟む南端と北端の陸前高田、気仙沼両市では復興事業の遅れなどが影響し、津波被害による喪失感の回復になお時間が必要となっている。
 気仙沼高で5月16日にあった復興をテーマにした特別授業。気仙沼市の小野寺憲一震災復興・企画課長が被害状況や復興の歩みを紹介し、「復興予算や制度をフル活用して雇用創出や産業再生を図る」と強調し、若者に定着を呼び掛けた。
 市は2013年度以降、10〜30代を対象に地元で活躍する事業者を交えた「ぬま塾」や活性化事業を考える「ぬま大学」を開設。停滞感を打破する新たな模索を続ける一方で、市内では昨年から今年にかけて復興事業の遅れが相次いだ。
 昨年秋には離島・大島に整備する観光ターミナルの開設時期が1年以上延び、気仙沼大島大橋の完成(18年度末)に間に合わない見通しが明らかになった。防潮堤建設の施工ミスも4月に表面化し、住民が県に造り直しを求めるなど反発を強めている。
 災害公営住宅の家賃や医療費への支援などが手厚い岩手県をうらやむ隣接の市民には、不満もくすぶる。岩手県が昨年10月に被災者医療費の窓口負担免除の継続方針を発表すると、気仙沼市も独自に延長を決めた。不公平感を和らげるため、小野寺課長は「隣県の動向も意識せざるを得ない」と明かす。
 死者・行方不明者が岩手県内最多の1760人に上った陸前高田市。県が5月に示した復興関連工事の工程表では、高田南地区で復興拠点整備事業の完成時期を18年度から2年間先延ばしするなど、4事業がさらに遅れる予定となった。
 市の村上弘人復興推進課長は「街が丸ごと津波でなくなった喪失感は今も大きい」と市民の思いを代弁する。「被災者の生活再建の加速に加え、移住定住策や交流人口の増加で活気を取り戻し、復興の実感を高めていくしかない」と話す。


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2018年06月05日火曜日


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