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清酒酵母でワイン醸造 優しい香り+爽やか酸味

6号酵母で仕込んだワインをPRする熊谷さん

 現役では最も古い東北ゆかりの清酒酵母「きょうかい6号酵母」を使ったワインが、山形で誕生した。山形市の純米酒専門店店主熊谷太郎さん(48)=気仙沼市出身=が企画。10日、山形市内である「全国6号酵母サミット」の会場で参加者に販売される。

 6号酵母の新たな可能性を探ろうと、熊谷さんが昨年設立された南陽市のワイナリー「グレープリパブリック」に商品化を提案、実現した。
 昨年11月、南陽市産スチューベンを使い仕込みに着手。一般的なワインは実をつぶして発酵させるが、粒のまま醸造タンクに入れ6号酵母で発酵を促した。
 今年1月に750ミリリットル600本に瓶詰めし、熟成させた。色はピンクで、アルコール度数は高めの14度。
 醸造を担当した出来正光さん(31)は「口に含むとワインのフルーティーな香りや味わいとともに、清酒のような酸味やうま味が感じられる」と説明する。
 6号酵母を使った清酒は優しい香りと爽やかな酸味が特徴。国内では香り豊かで酸味を控えた清酒が好まれる傾向があり、一時は6号酵母による酒造りが廃れた。熊谷さんは再評価と普及を目指し、2016年から毎年サミットを企画している。
 今年は、6号酵母を使う山形、福島、滋賀、広島など10県の18蔵元が集う。新政酒造(秋田市)の佐藤祐輔社長が6号酵母をテーマに講演するほか、蔵元がトークセッションを行う。入場料は前売り2000円。
 当日販売するワインは米国のシンガー・ソングライター、ボブ・ディラン氏の曲にちなんで「Idiot wind」(邦題・愚かな風)と命名した。1本3240円。
 各蔵元の計50種類の清酒とコース料理が楽しめる食事会(前売り1万円)もある。熊谷さんは「清酒酵母でワインなんて愚かと思われるかもしれないが、日本の酒造りの伝統を守りながら新風も吹き込み、東北から6号酵母の魅力を発信したい」と話す。
 連絡先は熊谷さんの酒店LaJomon(らじょうもん)023(666)8977。

<きょうかい6号酵母> 1930年に新政酒造のもろみに出現し、国税庁の技術者が分離、採取した。現在、日本醸造協会が蔵元に有償で配布している20種類以上の協会酵母の中で最も古い。寒さに耐えられる強い発酵力を持ち、東北の酒造りでも重宝された。


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2018年06月06日水曜日


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